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山本周五郎作品の短編集『おごそかな渇き』です。

わたしが所持している山本周五郎作品の
新潮文庫全巻のなかで
『青べか物語』や『季節のない街』などの
現代ものを除けば、
紹介する最後の作品となります。

『蕭々十三年』
『紅梅月毛』
『野分』
『雨あがる』
『かあちゃん』
『将監さまの細みち』
『鶴は帰りぬ』
『あだこ』
『もののけ』
『おごそかな渇き』

以上の10作品が収録されています。

どの作品もおもしろいのですが、
『雨あがる』『かあちゃん』『将監さまの細みち』
『あだこ』『もののけ』あたりが特に好きです。

『野分』や『将監さまの細みち』は
自分だけが幸せになっていいのか、という
庶民の心映えが胸に迫ってきます。
その反面、『鶴は帰りぬ』では
茶屋の娘がいろいろなしがらみを捨てて幸せになる話で
それはそれで、感動します。

とにかくこの短編集では、
下町もの、武家もの、岡場所もの、平安ものなど
いろいろなバリエーションが楽しめると思います。

『おごそかな渇き』は現代もので
しかも作者の絶筆、未完の作品です。
葉室麟作品の『オランダ宿の娘』です。

江戸時代後期、外国船が日本近海に
やってくるようになる頃の話で、
シーボルト事件、間宮海峡発見などにも
関わってくる虚実を織り交ぜた
ミステリーテイストの小説です。

オランダ使節の宿館に指定されている
長崎屋の家付きの娘、るんと美鶴の姉妹を軸に
物語が進んでいきます。

姉妹が思いを寄せる、オランダと日本のハーフの青年と
通詞を目指す青年が姉妹とともに事件に巻き込まれます。
殺人事件、密貿易などの謎はどう解かれるのか、
史実上の人物たちはどのように関わるのか、ということで
なかなか壮大なストーリーになっています。

幕末の小説群にまたハマってしまいそうです。
宮本昌孝作品の『家康、死す』です。
好きな作家の作品なので、非常に期待していました。

家康替え玉説は、他にもたくさんありますが、
この作品では、三河統一とともに
家康が入れ替わることになります。
この替え玉を支えていくのは、
世良田次郎三郎です。
誰に本物が殺されてしまったのか
すこしミステリーチックに話は展開していきます。

『影武者徳川家康』の世良田二郎三郎を
彷彿とさせるというか、一字違いなだけですが、
隆慶一郎にはさすがの宮本昌孝も
太刀打ちできない感が残りました。

この作品自体がつまらないというわけではないです。
海音寺潮五郎作品の『蒙古来たる』です。

元寇という国難にあたって、
皇統争い、北条家の主導権争いに加え、
チンギスハンに滅ぼされたホラズム朝王女の亡命など
さまざまな要素が絡んで、情勢は複雑怪奇。

主人公は誰ともきめがたいですが、
北条家では時宗、朝廷では西園寺実兼、
伊予の豪族河野通有、そして天草の獅子島小一郎でしょうか。

伝奇小説を読んでいるみたいな感じでしたが、
ペルシアのホラズム朝は、チンギスハンによって
実際に蹂躙されていまして、史実なんですよね。
文庫本には後記がありまして、
このあたりのことも書かれていました。

モンゴル帝国関連の作品と併せて読むと、
面白いのではないかと思います。
杉本苑子作品の『穢土荘厳』。
この作品はかなり前から読みたくて、
やっと入手できました。

蘇我系の外戚から藤原系の外戚へ、
権力が移っていく中で、暗躍する権力者、
町の医者と染物に工夫を重ねる娘、
陰謀に関わり、九死に一生を得て出家する男と
本当に幅広い視点から物語が進んでいきます。

下巻では、奈良の大仏が建築されていく様子が
とても詳細に描かれており、
そこに関わった膨大な奴隷を含めた人たちの
まさに血と汗でできたということが、実感されました。
大仏は平重衡や松永久秀が焼いてしまいましたが、
そのたびに繰り返され来たんでしょうね。

歴史的建造物を、ただ眺めるというのではなく、
そういう人為のたまものとしてみると、
またちがった感想が生まれます。

永井路子作品『美貌の女帝』を読んでから、
この作品に取り掛かりましたので、
時代背景がスムーズに入ってきました。
ボリュームがありますが、秋の夜長にピッタリかもしれません。
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