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2013.02.27 『秋月記』
葉室麟作品の『秋月記』です。

主人公は、冷や飯食いの吉田小四郎です。
間家に養子に入り、頭角を現していきます。
そして、小四郎を取り巻く仲間たち。
幼馴染もいれば、遊学中の江戸で知り合った仲間もいます。
その仲間たちで藩政改革を進めようと
専制をしく、家老宮崎織部の失脚を画策します。

福岡藩の支藩である秋月藩を舞台にしており、
本藩の介入を防いでいたのは、実は
宮崎織部であり、その真実を知った小四郎と
それを知らないかつての仲間たちに亀裂がはしります。

途中でどんでん返しがあるので、
飽きずに読めました。
本藩との暗闘、仲間とのきずな、など
面白要素もたくさんです。
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山本周五郎作品の中編『柳橋物語・むかしも今も』です。
表題作の2作品が収録されています。

まず、『柳橋物語』。
主人公のおせんにつぎつぎとふりかかる困難の数々。
その困難さを将来を確かめ合った
庄吉への思いで乗り越えていきますが、
誤解が元で恋人にも裏切られてしまいます。

火事、水害、村八分と読むに耐えなくなるくらい
不幸が襲いかかってくるので、
読んでいて非常に苦しいです。
涙なしには読めない作品です。

そして、『むかしも今も』。
鈍重な職人である直吉が
奉公先の娘であるおまきにささげる
一途な思いがせつない作品です。

友情がテーマだった『さぶ』のさぶが
慕情をテーマにするとこの直吉になりますでしょうか。
貧しい同士が助け合いながら
生きていく様子も描かれています。

どちらの作品も興のある作品です。
ハンカチなしには読めません。
乙川優三郎作品の短編集『武家用心集』です。
火の「用心」の意味ではなく、
それぞれの主人公の決心というか、
心の在り方や意志を描いた作品です。

『田蔵田半右衛門』
『しずれの音』
『九月の瓜』
『邯鄲』
『うつしみ』
『向椿山』
『磯波』
『梅雨のなごり』

刺客となる男性目線の『田蔵田半右衛門』『邯鄲』。
女性目線の『しずれの音』『磯波』。
どれも佳品ばかりですが、
個人的には女性の自立がテーマの『うつしみ』や
将来の約束を取り戻そうとするまでの
恋人たちを描いた『向椿山』が心にのこりました。

いずれの作品も、ほの明るい未来が暗示されているようで
読後感が爽やかでした。
先にも書いたように、実際には
思いまどい、悩んで苦しんだ果てに
自らの心を決めるということで、
けっしてハッピーエンドというわけではないんですが。

この作品集で、中山義秀文学賞をとったんですね。
それだけ出来のいい作品集だと思います。
海道龍一朗作品の『天佑、我にあり』です。
この作品は、武田信玄と上杉謙信の
双方の視点から第4次川中島の戦いが描かれます。

副題が「天海譚(てんかいがたり)川中島異聞」で
この合戦を見物した南光坊天海が
徳川秀忠、家光親子に語るというストーリーテリングです。
また、武田信玄、上杉謙信それぞれの幼少時代、
青年時代なども回想で入ってきますので、
小説上ではだいたい1か月のことですが、
上下にわたる大作になっています。

また、川中島の地図、謙信が陣取った妻女山の地図などが
載っているので、非常にイメージがしやすいです。
地図のページには、しおりが2つは必要ですかね。

それぞれの総大将たちだけでなく、
それぞれの家臣たち目線からの語りもあり
戦見物している天海と風魔小太郎目線もあり
重層的に合戦を浮かび上がらせています。
ハマるとけっこう時間を忘れます。
2013.02.11 『上杉謙信』
吉川英治版『上杉謙信』です。
吉川「謙信」は、のっけから第4次川中島の合戦が
主要な舞台となっております。

このほかに主要な人物としては、
斎藤朝信や初鹿野伝右衛門などが登場し、
斎藤朝信はお使者として甲府に使いして捕われ、
初鹿野伝右衛門は生き別れた娘を
見つけ出します。

初鹿野伝右衛門は第4次川中島の合戦よりも前の
上田が原の戦いで亡くなっているので、
このあたりは、創作かと思われます。

戦争中に書かれた作品だけあり、
皇室讃美のような表現に時代を感じます。
海音寺潮五郎作品の『天と地と』です。
昭和40年代にはNHKの大河ドラマになりました。
映画にもなっていると思います。

越後の長尾景虎、のちの上杉謙信の
生誕の時から川中島の戦いまで
前半生を描いた作品です。

父から疎まれ、兄とは家督をめぐって争い、
そして生涯不犯を誓い妻をめとりませんでした。
そんな景虎の成長をたどった、ビルドゥングスロマンです。
同時に、幼い時に思いを懸けた、
宇佐美駿河守の娘乃美(なみ)とのロマンスもあり
生涯のライバルとなった武田晴信との戦いもあり、
非常に読み応えのある作品だと思います。
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