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2013.01.27 『五瓣の椿』
中国を題材にした作品から、
山本周五郎作品にかえってきました。
長編の『五瓣の椿』です。

男出入りが絶えなかった母を殺し、
母と情事をともにした相手を
次々に殺害していくというサスペンスです。

大事に育ててもらった父を失い、
その父を邪険にしか扱ってこなかった母。
そんな母を許すことができず、
おしのは、復讐をしていきます。

途中から、八丁堀の青木千之助が
おしのを追いますが、
しっぽを押さえることができるのか、
最後のほうはスリリングです。

また、法ではさばけない罪や
倫理のちからとは何だろうかという
重たいテーマでもあります。

シリアスなテーマですけれども、
引き込まれてしまい、
気がつけば時間がたっていました。
さすがの筆力です。
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陳舜臣作品の『中国傑物伝』です。

春秋時代から辛亥革命あたりまでの時代にかけて
16人の人物が取り上げられています。
ですので、この本だけで中国史を
ざっと概観できる感じになっています。

五代十国の宰相だった馮道。
主君を何度も替えるたびに、
宰相の位置に登りつめた人物です。
唐滅亡後は混乱を極め、なかなか政権が安定しませんでしたが
そんな中にあって、馮道は
どの主君からも信頼されたということで、
傑物に違いありません。
ただ、後世の評価はあまり良くないようですが
作者は、人民を守るプロだったのではないか、との評です。

中国の人物と言っても、
なかなか身近に感じられないかもしれませんが、
面白い評伝ではないかな、と思います。
陳舜臣作品の『耶律楚材』です。

チンギスハンの時代に活躍した人物です。
もともと、遼とよばれる契丹人で
女真族の金に仕えていましたが、
モンゴルのチンギスハン勢力が大きくなり
燕京と言われていた今の北京が
モンゴルによって落とされたときに
チンギスハンにつかえるようになりました。

略奪によって富を得ようとするモンゴル勢力に
文化の考え方を浸透させようと
孤軍奮闘する姿が描かれます。

チンギスハン亡きあと、2代目のオゴディにも
重用されますが、
オゴディ亡きあとは失脚してしまいます。

大学時代に、オゴディのときに活躍した
西域出身のアブドゥルラフマーンの事績を
『新元史』で読んでいましたが、
耶律楚材との確執は
この小説を読んで知りました。

もっと勉強すればよかったという
悔恨の書でもあります。
『中国英傑伝』ではほとんど触れられなった
中国の戦国時代を扱った作品から
宮城谷昌光作品の『青雲はるかに』です。

范雎という魏に生まれた大才が
スパイ容疑をかけられて、
便所に落とされてしまうという屈辱を受け、
そこから這い上がって復讐を果たすという
ストーリーです。
まあ、ストーリーというか実話なんですが。

復讐といっても、単に仇を討つというのではなく
秦の国の宰相になって、魏の国を討ち
汚名をかけた当事者を失脚させるという
大変困難な復讐を果たします。

基本的に、この作者の男女の機微に関する文章は
わたしにとっては難しすぎるのですが
この作品はそのような場面が多かったです。
でも、ストーリーがストーリーだけに
非常に楽しく読めました。
海音寺潮五郎作品の『中国英傑伝』です。

まず、楚漢戦争にはじまり、呂氏専横、
春秋の五覇、呉越の争いというように、
古代中国を中心にした評伝となっています。

ほんとうは、もっともっといろんな時代を
書きたかったようですが、
作者の「あとがき」には健康上書けなかったとあります。

特に、呉越の争いについてが楽しいです。
まあ再読なので初めて読んだ時のことは
あまり覚えていませんが、
知識としては断片的に知っていたものの
まとまった作品を読んだことがなかったですから。

これらの時代を題材とした小説は
たくさんありますので、併読すると面白いでしょうね。
藤沢周平の初期のころの
作品を集めた短編集『暗殺の年輪』です。

『黒い縄』
『暗殺の年輪』
『ただ一撃』
『溟い海』
『囮』

全体的に暗い感じの作品が多いですが、
読みがいのある作品ばかりです。
解説を読んでいると、
直木賞候補になったのがこのうち3つの作品。
そして、『暗殺の年輪』で直木賞を受賞しています。

ストーリーがミステリー仕立ての
『黒い縄』が個人的には好きです。
元地廻りの地兵衛と博打うちの宗次郎の
追いかけ合いを、出戻りのおしの視点で
描かれていきます。
濡れ衣を着せられた宗次郎と
宗次郎に惹かれてしまったおしの。
緊迫感のある作品です。

ほかの4作品とも佳作ぞろいです。
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