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宇月原晴明作品の『黎明に叛くもの』を紹介します。
管理人がもっている文庫のサイズが
かなり分厚くなっておりますので、
読み終わるまで、けっこうな時間がかかると思います。

主人公は、戦国時代では悪名高い、松永久秀。
イスラム伝来の秘術をあやつるという設定です。
設定自体がかなりファンキーですね。
内容もかなり現実離れしております。
非常に伝奇的な色合いの濃い、歴史時代小説です。

管理人が所持している、この作者の『信長』『聚楽』と
比べてみて、個人的には一番面白いと感じています。
イスラム秘術の『波山の法』を駆使して
おおきな野望を遂げようとしますが、
兄弟子という設定の斎藤道三や
織田信長を超えることができない悲哀も描かれています。

作者のコメントでは、司馬遼太郎『国盗り物語』の
オマージュだそうです。
併せて読むのも面白いかもしれませんね。
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2012.06.21 『真剣』
今回の歴史・時代小説は、海道龍一朗作品の『真剣』です。
著者の処女作なんだそうです。
新潮文庫には出版までの経緯が詳しく載っていて
その文章もまたおもしろいです。

新陰流の創始者である、上泉信綱が主人公です。
剣を極めるための修行の日々、
上野国の国人衆としての武将の日々、
新陰流を広める旅と
信綱がストイックに生き抜くさまと
胤榮が宝蔵院流槍術を編み出すまでの日々が
硬質な文体で描かれていき、
ラストで2人がぶつかり合うことになります。

章だてが年代順ではないのですが、
この流れであることが飽きさせないというのか
面白さのうねりが生み出されています。
また、胤榮や柳生宗厳などが関西弁であるのも
関西在住の立場からも親しめました。

この作品は、個人的には傑作の部類に入ります。
主人公たちの挫折や人情の機微、
戦国武将たちの器量の大きさの描かれ方など
時間を忘れてしまいます。
伊東潤作品の『戦国無常首獲り』です。
もともとのタイトルは、『戦国奇譚 首』だったようで
文庫になるときに改題したようです。

首にまつわる連作短編集で、
功名手柄の証である、首をめぐって
さまざまなドラマが展開されます。
タイトルにあるように、
悲喜こもごものストーリーで、まさに「無常」です。

基本的には、関東の戦場で活躍する
北条家やそれにかかわる家中の侍の話で
合戦にまつわるいろいろな
知識なども具体的で、真に迫っています。

他の著書も読んでみたい気持ちになりました。
隆慶一郎作品の『かぶいて候』です。
他の作品同様、これも未完のまま
作者の急逝を迎えてしまった作品です。

このほか、『異説猿ヶ辻の変』という短編、
エッセイ『幻の吉原』、対談『日本史逆転再逆転』が
収められています。

『かぶいて候』は
将軍家光の小姓だった水野成貞が
自分の家系の謎を追うというものですが、
今から本題、というところで終わっております。
返す返すも残念でございます。

『異説猿ヶ辻の変』は幕末の
過激派公卿、姉小路公知暗殺事件が
題材になった作品です。
謎を追う、土佐藩の土方楠佐衛門が
事件の真相を追っていきます。

隆慶一郎作品の未完作はたくさんあります。
逆に言えば、何本も同時並行で
書いていたんでしょうね。
どれも時が止まったままになっているのが
惜しいですし、かなしい気がしますね。
2012.06.15 『花も刀も』
山本周五郎短編集『花も刀も』です。

じつは、前回紹介した『無法者』の前に
読み終わってたんですが、
ナニをボケたのか更新ド忘れしてました。
で、急遽本文を変えました。

『落武者日記』
『若殿女難記』
『古い樫木』
『花も刀も』
『枕を三度たたいた』
『源蔵ヶ原』
『溜息の部屋』
『正体』

『花も刀も』がけっこう長い作品です。
すれ違いというのかどうにも
ことがうまく運ばず失意の青春をおくる
若き日の平手深酒が主人公です。
運がないの一言ですね。

『若殿女難記』はこっけいものです。
替え玉事件がじつは、もう一ひねりしてあって
なかなかたのしい作品になっています。

『枕を三度たたいた』は武家ものの作品。
藩内抗争を記憶喪失となった武士が
解決してしまうというストーリーです。
ミステリー仕立てで面白い作品です。

『溜息の部屋』『正体』は現代ものです。
2012.06.13 『無法者』
佐藤雅美作品の『無法者』。
無法者と書いて、アウトローと読みます。

山本周五郎作品『花も刀も』で登場の
平手深酒にかかわる、天保水滸伝が
題材になっている作品です。

飯岡助五郎と笹川繁蔵の抗争を
おもに飯岡方から見ており、
江戸末期の顔役がどのような
実態であったかがわかります。

しかし、同じ作者の『八州廻り』の
シリーズのほうが個人的には
面白いような気がします。
山本周五郎作品の短編集『四日のあやめ』。
9つの短編が収められています。

『ゆだん大敵』
『契りきぬ』
『はたし状』
『貧窮問答』
『初夜』
『四日のあやめ』
『古今集巻之五』
『燕』
『榎物語』

『貧窮問答』はダメな主人に
なぜか貢いでしまう渡り中間の話。
ダメ人間の仲間としては、興味のある作品世界です。

『契りきぬ』は以前に紹介したことのある
短編集『あとのない仮名』所収の
『しづやしづ』と同じテーマです。
自分が許せなくて、愛する人のもとを
去ってしまうというおんなごころが悲しい作品。

ほかにも、表題作『四日のあやめ』
『古今集巻之五』『燕』など
紹介したい作品が多いですが、
駄文が続いてしまいそうなので、やめときます。

現代ものはなく、時代ものだけで構成されており、
シリアスな作品が多い短編集となっています。
日露戦争関連の作品群も最後です。
(管理人の手元にある書物という意味です)
吉村昭作品の『ポーツマスの旗』。
司馬遼太郎作品と吉村昭作品しか
手持ちにないというのも、ヒジョーに偏っていますが。

講和条約の締結に尽力した、
全権大使の小村寿太郎が作品の主人公です。
大きな期待を背負って旅立つものの、
条約の内容が、大国の国威に屈したものであったため
帰国に際しては大非難にさらされます。

家庭的にめぐまれない全権大使ですが、
条約の締結に当たっては、
かなり冷静に対処していき、
本当は計画通りの内容で条約を結びました。
日本の実情が国民に知らされていなかったため
悪名を一心に背負ってしまうという、
ちょっとかわいそうな役回りだったようです。

そして、作品中にちりばめられているのが
タイトルにもある「旗」です。
船出のときの「旗」は、帰国の際には
しおたれた「旗」として描かれているのも
とても象徴的でした。
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