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2012.02.27 『岩倉具視』
歴史・時代小説界の長老、
(と、解説に書いてありました)
永井路子作品の評伝『岩倉具視』です。

このブログでも紹介したことのある『炎環』で
直木賞をとったころから、構想を温めていたそうです。

さて、本題ですが
幕末の激動期を失脚で京都の
岩倉村に追いやられながら、
倒幕直前に大活躍して明治の元勲になった
いきさつが語られます。

作者お得意の権力争いの解明や
人間洞察の視点などが面白いです。

また、文庫の背表紙や帯などにもありますが、
「尊王攘夷」「王政復古」などの言葉を
もう一度解体して、本当の意味がなんなのか
という作業から、幕末の実態を
明らかにしていくので、非常に説得力のある
作品に仕上がっています。

幕末維新を公卿の側から描いた作品なので
これまた、通り一辺倒の作品群とは
かなり違ったイメージで
読み直すことができると思いますし、
案外、読みやすい作品です。
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2012.02.27 『覚悟の人』
小栗上野介の生涯を描いた『覚悟の人』。
佐藤雅美作品の長編です。

幕末の激動の中にあって、
終始、江戸幕府を支えようとした人で
特に勝海舟などとは仲が悪かったようです。
そのため、倒幕の側から
描かれた小説などでは
悪者扱いを受けることもあります。

幕府を守っていく側からの視点で
読んでいくと、
たとえば、福井藩の松平春嶽のほうが
節操のない獅子身中の虫となるわけで、
歴史の面白さを感じました。

作者の明快な考え方で
バッサリ人物評が語られ、なかなか
読み応えがあります。
通り一遍の幕末ものに飽きた人におススメです。
辻邦生作品の『背教者ユリアヌス』です。
大作ですので、読了までに時間がかかりました。

主人公は、紀元4世紀の
ローマ皇帝ユリアヌスですが、
なかなか馴染み深い人とは言えませんよね。
そんなローマ皇帝ユリアヌスの生涯を
荘重な雰囲気で描いています。

ストーリーテリングは
ユリアヌスであったり、ユリアヌスを庇護する
皇后のエウセビアであったり、
友人のゾナスであったりと場面で変わり
群像劇と読めなくもありません。

キリスト教公認直後の時代にあって
古代からのローマ神教を復活させようとしたため
後世から「背教者」とされてしまったのですが
この小説を読むと「背教者」という響きとはちがい
その時代を生真面目に生きようと
必死にもがき苦しんだ様子がわかります。

わたしのなかでは、「傑作」のひとつと
かなり高評価なのですが、西洋ものですし
時代背景がわからないと
ちょっと読みにくいかもしれません。
今回の私のように、
『ローマ人の物語』読んでからのほうが
入りやすいかもしれませんね。
塩野七生作品の『ローマ人の物語』より
『キリストの勝利』です。
この大作も残すところ、あとわずかになってきました。

皇帝はコンスタンティウス、ユリアヌスとつづいていって
さいごはローマ帝国を東西に分けたテシオドス帝までの時代です。
タイトルの通り、キリスト教が公認され
ローマの国教となっていきます。
特に下巻については、ミラノ司教アンブロシウスが
帝位にはついていませんが、
フィクサー的な存在としてとりあげられています。

現代は信教の自由が認められていますので、
この巻の主役であるキリスト教に対しては
どことなくエキセントリックに感じてしまいます。
それでは歴史をわかるってことにならないわよって
作者の塩野七生氏に怒られそうですね。

皇帝ユリアヌスについては、次に名作『背教者ユリアヌス』を
紹介する予定なので、更新をお待ちください。
ただ、全3巻の大作なのでいつ更新できるかは疑問ですが。
2012.02.03 『侍』
遠藤周作作品の長編『侍』です。
ここ何冊かは、やわらかい感じの作品を読んでたので
思い切り歯ごたえのあるシリアスな作品を読みました。
そしたら、読了まで相当時間がかかってしまいました。

主人公は、藩主から命じられて
海を渡った武士、長谷倉と
スペイン人宣教師のべラスコの2人です。

メキシコ、スペイン、ローマと
7年にも及ぶ苦難続きの旅の果てに
キリシタンの洗礼まで受けて、
藩主の意向を果たそうとした長谷倉たちに
非常に過酷な運命が待ち受けています。

野心家の宣教師と物静かな侍。
使命を果たせなかった2人は
その帰路で、心が通じ合うというのか
連帯感が生まれ、ラストは感動的です。

解説によると、ルイス・ソテーロ神父と
支倉常長がモデルとなっているとのこと。
管理人自身、この遣欧使節については
あまり詳しくは知りませんでしたが、
この作品がかなりのところまで
真実に迫っているのではないかとおもえるくらい
リアリティがある作品です。

重い感じの小説なので、それなりの覚悟(?)で
読書に臨むほうがいいかもしれないですよ。
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