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米村圭伍作品の『退屈姫君伝』です。
面白いという噂を聞いておりましたので、
中古で買って読んでみました。

軽妙という言葉がぴったりな作風で
そういうライトでポップな読み物が好物の管理人にとっては
スラスラ読んでしまいましたね。
語り口も非常に親しみやすくて、それも
読書スピードを上げる原因になりました。

大藩の姫でいたずら大好きのめだか姫が
くのいちや幕府の隠密などを巻き込んで
騒動を起こしていくというストーリーです。
時代考証が意外としっかりしているのですが
下ネタが多いのも特徴かと思います。

また、新潮文庫解説は落語家の立川志らく。
この解説もなかなか面白いです。
続編がいくつかあるみたいなので
今後読むのが楽しみです。
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藤沢周平短編集の『麦屋町昼下がり』です。
管理人自身は、藤沢作品をこれまであんまり
読んでこなかったのですが、
古本屋で100円で仕入れました。
そして、感動。

『麦屋町昼下がり』
『三ノ丸広場下城どき』
『山姥橋夜五ツ』
『榎屋敷宵の春月』
の4つの作品が収められています。
また、文春文庫ですが解説はありません。

タイトルを読んでわかるとおり、時間軸で作品が並んでます。
ただ、一つ一つは独立した作品です。

どの作品も秀作ばっかりで、まさに粒ぞろいです。
表題作の『麦屋町昼下がり』は若い藩士、
『三ノ丸広場下城どき』はやもめの中年藩士、
『山姥橋夜五ツ』も妻を離縁したばかりの藩士、
『榎屋敷宵の春月』は中老を狙う藩士の妻と
それぞれの主人公が藩内抗争や剣名を競うなかで
タイトルの場所と時間に転機を迎えるという流れになってます。
またそれぞれ、淡い恋であったり夫婦仲であったりと
男女の機微も描かれているので、その方面でも楽しめます。

読みやすく、入手しやすいですので、
この作品集は、ぜひ読んだほうがいいですね。
時代小説を堪能できると思います。
何年前かに大ヒットした『のぼうの城』。
文庫になって、「中古」に出たところでやっとゲットしました。

読んでみての感想は、軽妙かつ面白い。
軽妙さというのはわたくしの好物です。
上下巻ありますが、あっという間に読めました。

主人公は「のぼう様」忍城城代家老の成田長親ですが
ストーリーテリングは主に
忍城側が正木丹波守、寄せ手側は石田三成、大谷吉継です。
話は史料にかなり基づかれていますが
忍城側の正木丹波以外の家老の性格付けが
ウマいためかどんどん読めます。

「のぼう様」は人望が厚いのが取り柄で、
口下手で何をやっても不器用で
周辺住民や家老たちから「守ってあげなくては」と
思われるアンチヒーローですが、
こういう感覚は昭和軍人の天皇に対する思いに通じますね。
もちろん天皇が「のぼう様」のような
アンチヒーローとは言いませんよ、念のため。

また、この忍城攻防戦は他にもたくさん作品化されています。
たとえば、山本周五郎作品『笄堀』など。
まあ秀吉の小田原攻めに欠かせないエピソードですしね。

いずれにせよ、かなり面白いので
未読の方はハマっちゃってください。
2012.01.19 『聚楽』
歴史時代小説ですが、この作品は
かなり伝奇色の濃い小説です。
宇月原晴明作品の『聚楽』。
サブタイトルは「太閤の錬金窟」です。
錬金窟と書いて「グロッタ」と読みます。

主人公は関白、豊臣秀次。そして
その秀次に拾われた女の子の竹。殺生関白が
主人公と言う作品は珍しいですが、
内容はと言うと、新潮文庫の背表紙にある通り
オカルト満艦飾そのもの。

非常にグロテスクな描写が満載で
ちょっと子供には読ませられないなという感じ。
まあ全部で約750ページありますから
子供が読もうと思うかも疑問ですが。

この750ページにわたるオカルトのオンパレード、
面白いと思ってページをめくれないと
なかなかの苦行となります。
ただ、信長と秀吉と家康の原風景や
秀吉と家康の交情の場面は非常に面白いです。
司馬遼太郎作品の『夏草の賦』。
昭和40年代のけっこう古い作品です。
主人公は長曾我部元親夫妻。

ストーリーは元親の妻、菜々が
輿入れするところから始まり、
元親が約20年ほどかかって四国を
制圧し、それを秀吉に取り上げられてしまい
九州征伐で息子の弥三郎信親が戦死、
失意の元親は余生を抜け殻のように過ごすというもの。

古い作品なので、新しめの司馬遼太郎作品に比べ
小説らしい小説になっているので
非常に面白く、読みやすいです。

この作品を読んでいると永井路子作品で
毛利元就夫妻を題材に取った『山霧』が思い出されます。
元就も謀略を巡らす人物として
描かれていましたが、元親も本作品で
そのように造型されています。
併読してみると面白いかもしれませんね。
2012.01.19 『信長』
歴史時代小説の感想専門と
いっておきながら、専門外の評伝です。
秋山駿作品の『信長』。

織田信長の独創性や非凡な才能を
洋の東西を問わないさまざまな
文献を駆使して、年代順に解いていきます。
おもにナポレオンとの対比が多いです。

題材が題材だけに興味深い半面、
『信長公記』の原文やプルタルコスの『英雄伝』など
昔の訳された引用文の生硬さなどが
人によっては非常に読みにくいはずです。
かく言うわたしのその一人ですが。

また、戦争が主眼に置かれている割には
当時珍しかった戦争の
季節にとらわれなくなった常備軍の組織化には
触れられていないのは失念されたんでしょうか。

そんなこんなですが、
小説ではないので面白くはないです。
勉強にはなりますよ。
2012.01.13 『利休椿』
火坂雅志作品の短編集『利休椿』です。
7つの作品が収録されています。

『山三の恋』
『関寺小町』
『辻が花』
『天下百韻』
『包丁奥義』
『笑うて候』
『利休椿』

能、染め、連歌、料理、咄、茶と
安土桃山時代の文化的な側面を
支えた作品が並んでいます。
『山三の恋』だけは少し違うかもしれませんが
舞で有名な名古屋山三郎が主人公ですし。

中でも面白かったのは、『辻が花』。
一目ぼれをしてしまった上臈のために
辻が花染めをするため、命を懸けて
幻の花「天女花」を探す染め師の話です。
また、表題作『利休椿』は、
椿作りの名人、又佐が紫の椿を探して
因縁深い故郷に戻るというストーリーです。

火坂作品は長編のほうが有名な作品が多いと思いますが、
短編もけっこうおもしろいです。
2012.01.13 『余寒の雪』
宇江佐真理作品の短編集『余寒の雪』です。
7つの作品が収録されています。

『紫陽花』
『あさきゆめみし』
『藤尾の局』
『梅匂う』
『出奔』
『蝦夷松前藩異聞』
『余寒の雪』

表題作だけあって、『余寒の雪』が白眉です。
女剣士として郷里では並ぶ者がなかった
主人公、知佐が嫁に行くというストーリーです。
おんなごころの機微が面白いです。

また、『紫陽花』『梅匂う』の
花つながりの作品も佳品です。
『紫陽花』は遊女のはなし。
遊女のはかなさがあじさい籠められています。
『梅匂う』は見世物小屋で働く大女に
恋をしてしまった小間物屋の旦那との
ラブストーリーです。

文春文庫の巻末にある中村彰彦解説が
けっこう辛口で、ピリッと効いている感じです。
2012.01.07 『艶書』
山本周五郎短編集の『艶書』。
戦前を中心に全部で11編の短編が収録されています。

『だだら団兵衛』
『槍術年代記』
『本所霙河岸』
『金作行状記』
『憎いあん畜生』
『城を守る者』
『五月雨日記』
『宵闇の義賊』
『艶書』
『可笑記』
『花咲かぬリラ』

書き直しをしていった、または
書き直しをされた作品というのか
これまでにも紹介してきた作品と
同じテーマを取り上げている作品が
比較的多いのが特徴かなと思います。

たとえば、『だだら団兵衛』は
作品集『やぶからし』の『山だち問答』に
『槍術年代記』は同じようなストーリーで
作品集『生きている源八』の『足軽槍一筋』や
同じく『朝顔草紙』の『足軽奉公』などがあります。
また、『艶書』は作品集『花杖記』の『肌匂う』に
昇華されていきます。

他にも『金作行状記』、『五月雨日記』などにも
筋立てが似ている作品があります。
他の記事にも書いていますが、
山本周五郎と言う作家は
同じテーマを繰り返し取り上げる傾向がありますので
そういう意味では、いろんな作品を知っていると
にわか研究者の気分が味わえます。

『艶書』に収録されているどの作品も面白いですが、
とくに表題作の『艶書』、『憎いあん畜生』が気に入っています。
また、『金作行状記』はこっけい味があって好きです。

『可笑記』『花咲かぬリラ』は現代ものです。
岩井三四二作品の『踊る陰陽師』です。
5つの話が収められた連作短編。
サブタイトルが「山科卿醒笑譚」ということで
公家の山科言継とその家来、大沢掃部助が
いちおうの主人公です。
もっとも、ストーリーテラーは
短編ごとに変わっていきます。

それぞれに悩みを抱える人たちに
掃部助と山科卿が相談に乗ってやります。
でも、なにかと話がこじれかけながら
なんとか解決していく過程が、
非常に面白おかしく描かれていきます。

とにかく掃部助と山科卿がセコイんです。
まあ、戦国時代の公家は貧乏が相場で
山科卿は薬を作って売っているという
内職を糊口をしのいでいる様子も面白いです。

当時の世相がわかる作品に仕上がっていますよ。
大作『海の都の物語』です。
サブタイトルに「ヴェネツィア共和国の一千年」
とあるように、千年続いた都市国家
ヴェネツィアを描いた作品です。

ローマ帝国崩壊後、ラグーナのなかの
島に杭を打ち込んで建国されたヴェネツィア。
世界的にも美しい町として知られていますね。
そのヴェネツィアが共和国となって
貿易によって繁栄を誇り、そして衰退していった軌跡が
非常に興味深いです。

同じ作者の『ローマ人の物語』よりも
20年近く前に著されていますが、
合理的精神がローマとの共通項なのかなと思ってしまいます。
まあ、ヴェネツィアを非常に身近に
感じられる作品なので、
旅行に行く前に読んでいくと面白いかもしれません。
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