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直木賞受賞作の『夏姫春秋』です、作者は宮城谷昌光。
タイトルに夏姫とありますが、
おもに中国の春秋時代の治乱興亡に
筆が費やされており、夏姫が実際に登場するのは
全体の半分以下です。

夏姫自身は、悪女的なイメージでは
描かれていませんが、
彼女となんらかの関係を持った男たちは
次々と不幸に見舞われていきます。
不幸にならなかったのは、
慎重に接することができた楚の荘王と
夏姫を幸せにすることができた巫臣くらいのもんです。

同じ作者が同時代を描いた作品はたくさんありますので
併せて読むとより理解が深まると思います。
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2011.12.28 『風雅剣』
上田秀人作品の『風雅剣』です。
この作品は「竜門の衛」のシリーズです。

鞍馬寺や貴船神社あたりの洛北に
京都朝廷の復興を狙う「呪詛の宮」。
その陰謀を三田村元八郎が阻止できるか、
という感じのストーリーです。
また、サイドストーリーとして、
伊賀組の隠密たちの生き残りというのもあります。

読んでいてたのしいエンターテイメントです。
ただ、わたくし個人としては、剣豪小説は
やっぱり好みではないですね。
まあ嗜好の問題でしょうが。

シリーズも残り1冊となりました。
そこまで付き合ってみようと思っています。
2011.12.19 『山彦乙女』
山本周五郎作品の『山彦乙女』です。
伝奇小説のような長編で、
周五郎作品の中では珍しい部類に
入るんじゃないでしょうか。

将軍綱吉末期の時代。
世直しの機運が高まる中で、
ひとりそんな雰囲気とは一線を画す
旗本の安倍半之助。
叔父が怪死を遂げ、伝説に彩られる
甲州甘利郷の魅力に取りつかれ
出奔してしまい、そこでみたものは…。

柳沢政治の終焉と宝探し。
この2つの軸がうまいこと結びあっていくのと
世直しをしようとする半之助の友たちも
なかなか魅力的な感じで描かれています。

周五郎長編には、
『明和絵暦』や『天地静大』のように
政治に対してすこしナナメからみている
主人公がでてくる作品が、意外とありますね。
こんなしょーもない感想ですみません。

あんまり先入観なしに、伝奇小説と思って読んでください。
2011.12.15 『あかね空』
山本一力作品で直木賞受賞作『あかね空』です。
この作品は、映画化されたと思います。
たしか、内野聖陽主演だったかと思います。
映画のほうは未見ですが。

京都から江戸に出てきた豆腐職人、永吉が
長屋の店舗から表通りへ進出するものの
家族がバラバラになってしまうという話。

家族の歴史を第1部と第2部に分けて
視点を変えて追っていくという試みが面白いです。
ストーリーの展開が早く、それにあわせて
読むスピードは速くなっていきました。

人情話と思って読むと少しちがうのかな、と思いますが、
賞をとるほどの作品なので、面白いのは面白いです。
永吉の妻、おふみの性格の変わりようが
ちょっと受け入れがたいところもあるのが難点といえば
難点なのかなとおもいますが。
山本周五郎短編集の『町奉行日記』です。
表題作は「どら平太」という名前で
役所広司主演で映画にもなりました。

『土佐の国柱』
『晩秋』
『金五十両』
『落ち梅記』
『寒橋』
『わたくしです物語』
『修行綺譚』
『法師川八景』
『町奉行日記』
『霜柱』

『晩秋』は岡崎ものの変化球版といいましょうか、
『金五十両』と『寒橋』は下町もの、
ほかは武家ものだと思いますが、
『法師川八景』は分類がむずかしいです。

『土佐の国柱』『晩秋』『落ち梅記』は
テーマが似通っているので
バリエーションが楽しめるようになっています。
内容そのものは楽しめるようなものではなく、
かなりシリアスな作品たちです。

個人的なイチオシは、下町ものの2作品。
『金五十両』は、おんなの愛情が
世をすねていたおとこを立ち直らせるという
けっこう感動的な作品です。
また、『寒橋』も娘夫婦を思いやる
父親の心映えがすばらしい作品。
涙なしには読めないです。

ほかの『町奉行日記』の作品群も秀逸なものばかりです。
『悪人列伝』の近代篇です。
夜遅くまで読みふけってしまいましたので
連続投稿となりました。

『大槻伝蔵』
『天一坊』
『田沼意次』
『鳥居耀蔵』
『高橋お伝』
『井上馨』

シリーズの最終巻です。
けっこうなじみの深くないコアな
ラインナップなのかなと
個人的には思っています。

江戸時代のわいろ政治、密偵政治を解明する
『田沼意次』や『鳥居耀蔵』も面白いですが、
毒婦として、当時は話題になったという
『高橋お伝』が結構興味を引きました。

強盗殺人を犯した高橋お伝の
つじつま合わせの供述を解明していく手際は
ミステリーを読んでいるような面白さがあります。
実際は、資料に基づいて解説をしてくれるのですが、
まさに「事実は小説よりも奇なり」ですね。

『田沼意次』の締めくくりの言葉が
「こんな不潔な人物は、ぼくは嫌いだ」です。
こんなにストレートな言葉、なかなか言えないですよね。
わたしの感覚からすれば、「すごいな」の一言です。
『悪人列伝』3冊目は、近世篇です。

『日野富子』
『松永久秀』
『陶晴賢』
『宇喜多直家』
『松平忠直』
『徳川綱吉』

室町から江戸時代にかけての人物たちです。
作者の手にかかれば、
陶晴賢は「癇癪持ち」。
宇喜多直家は「小悪人」となり
徳川綱吉は「極端な人」となります。

時代時代の空気というものがあり、
その時代の雰囲気を無視して
今の考え方や価値観で単純に判断を下してはならない。
そんな言葉が随所に出てきますし、
作者、海音寺潮五郎
それを見事に作品化してます。

戦国時代が時代背景の作品はたくさんありますので、
『武将列伝』や『悪人列伝』を
参考文献(あえて文献で)として読むと
読書に幅が出てくるだろうとおもいます。
中世篇の『悪人列伝』です。
史伝文学ということで、歴史に興味があると
非常に読書スピードがあがります。

『藤原兼家』
『梶原景時』
『北条政子』
『北条高時』
『高師直』
『足利義満』

個人的には、鎌倉幕府最後の得宗である
『北条高時』が気になります。
単なるやんちゃ坊主というイメージが強く
とても「悪人」とは思えないのですが
時代に負けたといいましょうか、
ある面で悲劇の人物だと思います。

『北条高時』の中で、作者の海音寺潮五郎は
後醍醐天皇にかなり厳しい評価をしております。
ストレートな表現で、痛快ですらあります。
また、文春文庫ではこの中世篇に
作者のあとがきが載っていますが、
これも出色です。
海音寺潮五郎作品の『悪人列伝』シリーズです。
『武将列伝』のほうは、すでに紹介済みですが
わたしの読んでいる文春文庫版では
書かれた順番ではなく、年代順に並び変えているようです。
おそらくこの『悪人列伝』も同じなのかな?
と、勝手に想像しております。

『蘇我入鹿』
『弓削道鏡』
『藤原薬子』
『伴大納言』
『平将門』
『藤原純友』
西紀の1000年以前の「悪人」ですね。

どの作品も面白く読めましたが、
なかでも眼をひかれたのは、『伴大納言』でしょうか。
というのも、ほかの5人は長編で1作以上
読んだことがありますが、
『伴大納言』の長編は聞いたことないですからね。
単に知らないだけなのでしょうけど。

官僚臭紛々たる男、伴善男の
謎の前半生と出世欲、
切れる頭で政敵を倒していく様を
史料を駆使して解明していくのが面白いです。

『悪人列伝』は、ハードな読み物を求めている人に
おススメだと思います。
日本通史を短編で切り取る、『血の日本史』。
安部龍太郎の作品です。
磐井の乱を描いた『大和に異議あり』から
大久保利通暗殺の『俺たちの維新』に至るまで、
46の短編が年代順に収録されています。

46もあるので、一つ一つの作品名を羅列しませんが、
面白かった作品だけを挙げます。

伴大納言の有名な事件を、目撃者視点で描く『応天門放火』
前九年、後三年の役がテーマの『北上燃ゆ』『陸奥の黄金』
俊寛僧都の悲哀の独白が印象深い『鬼界ヶ島』
実朝と母の擁する北条氏に対する葛藤を描いた『八幡宮石の階』
誰にも言い寄られなかった女官の復讐、『姦淫』
初代市川団十郎が非道に斃れる『団十郎横死』
絵島にひそかに心を寄せる男の気持ちが切ない『絵島流刑』
そして、最後の『俺たちの維新』と
基本的に、悩み苦しんだ姿や心の動きに焦点を当てた作品が
印象に残っております。

おそらくこの『血の日本史』だけを読んでも
日本の歴史はわからないでしょうが、
時代は変わっても人間の心映えはそんなに
変わらないんだろうということは
わかるんではないでしょうか。

それにしても、安部龍太郎という作家の腕には驚かされます。
解説によると、毎週1作を連続して掲載したそうです。
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