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2011.02.21 『雲と風と』
伝教大師最澄が主人公の永井路子作品『雲と風と』です。
この作品は、物語というより評伝というほうがピッタリです。

作者は「史料を這う」と表現していますが
論文などを読みこなして作品化しているという点
頭が下がるおもいであると同時に
その果実を文庫代だけで読めるということに感謝です。

そのようにしてできあがったのは
伝説臭を取り除いて作者が再現した生身の最澄。
そしてウラ主人公と呼べる桓武天皇です。
話はこの2人を行ったり来たりしながら進んでいきます。

愚直というくらい生真面目な最澄には
正直言って人間的な魅力に乏しいような気がしますが
懸命に奈良時代末期の仏教退廃から抜け出し
天台法華の再発見と日本での構築を目指しながら
志半ばで死んでしまう、そして
天台宗は志とは違い、退廃へのみちを歩き始めるという
ちょっと報われない、悲劇性のある人物像です。

司馬遼太郎作品『空海の風景』と併せて読むと
より深く読み込むことができるのではないかと思います。
が、非常に内容が高尚になので
軽い試験勉強なみの心構えは必要かも知れません。
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文庫通巻27,28巻の『すべての道はローマに通ず』です。
この作品だけはローマの通史から少し離れて
ローマの街道と水道、医療教育にスポットが当てられています。

ローマを支えた街道網と水道のインフラ整備、
首都には大きな学校と病院がなくて
国境の最前線にある軍病院と
アテネ、アレクサンドリアの学術研究所という
今から考えるとちょっと想像できない当時の様子が
うかがえる一巻となっています。

特に、ローマ街道とローマ水道については
かなりタメになる内容となっていて
非常に興味がそそられました。
土木の基礎は、ユンボやブルドーザーでの作業に
変わった以外は基本的に同じなんだということ、
ローマ水道にはいまだに使われているものもあるということに
改めて驚かされます。

たまには、こういう堅いのもいいですね。
岩井三四二作品で庶民のたくましさを
描いた好編の『清佑、ただいま在庄』です。
連作短編のような感じです。

室町動乱の時代の和泉国、逆巻庄という
大きなお寺の荘園が舞台になっております。

そこに赴任してきた代官の清佑や
湯女の新(あたらし)、中間の与六、
地付きの孤児だったおきぬなどが
日常のいろいろな事件と格闘する姿が
かなり、共感を持って読むことができます。

まあ、とにかく代官と村人たちとの駆け引きや
田んぼの地券や水利など、
昔なら日本全国どこででも見られたであろう、
また田舎なら今でもあるような話ばかりです。

庶民の生きる力がひしひしと感じられる
面白い作品ですので、未読の方はぜひどうぞ。
2011.02.16 『明和絵暦』
長編『明和絵暦』は山本周五郎作品です。

背表紙や紹介などでは山県大弐がよく謳われていますが、
実際には作中で前面に出されているわけではなく
主人公は百三九馬という若者ですし、
たとえば『正雪記』の由比小雪のように
山県大弐の思想と行動が前面に出ているわけではないです。
もちろん、重要な人物であることには間違いないですが。
単に、撃剣と藩内抗争の話と読んで
差し支えないんじゃないでしょうか。

昭和9年の新聞小説だそうで、
後年のような重厚さよりかは吉川英治ばりの講談調が
少し勝っているので、
楽しく読む作品だと思います。
山本周五郎作品、短編集の『夜明けの辻』です。
戦前の作品が中心になっています。

『嫁取り二代記』
『遊行寺の浅』
『夜明けの辻』
『梅月夜』
『熊野灘』
『平八郎聞書』
『御定法』
『勘弁記』
『葦』
『荒涼の記』
『〔戯曲〕大納言狐』

こっけいものの『嫁取り二代記』、
岡崎ものの『平八郎聞書』、
『御定法』『葦』『〔戯曲〕大納言狐』など
のちに筆を改めて完成度を高めた作品が多くて
作者の苦心が伺える作品集だと思います。

特に、『葦』はのちの『葦は見ていた』につながります。
この『葦は見ていた』の感想を以前に書いたときに
どこかで読んだことあるような…というふうなことを
記していたのですが、どうやらこの『葦』だったようですね。

なかでも中編の『夜明けの辻』は分量が多いです。
ということで、その姉妹作『明和絵暦』を次は読んでみたいと思います。
2011.02.12 『青嵐の馬』
宮本昌孝作品の中編集『青嵐の馬』です。
私が持っているのは文春文庫ですが、
改題された『紅蓮の狼』というのも他の出版社から
出されているようですけど、中身は同じです。

『白日の鹿』
『紅蓮の狼』
『青嵐の馬』
この3作品が収められています。

中でも一番おもしろかったのは『紅蓮の狼』。
文庫の解説でも同意見でした。
成田氏長の娘、甲斐姫が主人公の物語です。
傷ついた少女時代を過ごした甲斐姫が
剣聖上泉伊勢守の最晩年の弟子として修業し
そして、忍城の興亡を迎えるということになります。

3つとも戦国時代が背景になっており
信長、秀吉、家康の3人も出てきます。

まあ、ファンでなければスルーですね。
2011.02.11 『早春賦』
山田正紀作品の『早春賦』です。
この作家の作品は初めてです。
文庫の紹介を読むとミステリー作家のようです。

しかし、この『早春賦』にはノックアウトされました。
この作品は相当面白くて、かなりのヒットです。

主人公の風一は、八王子千人同心の半士半農の青年。
お坊さんをめざす山坊、解死人の林牙、
武士の火蔵、火捨たち幼馴染との
大久保長安事件をきっかけにした愛憎の物語です。

青春時代の小説というのがストライクゾーンのわたしにとって
幼馴染に父を殺されてしまい、敵味方に
別れざるを得なかったという悲劇性だけでも
十分に興趣をそそるものでありますが、
それぞれの夢が地に足をついたものであったり
時代考証の確かさであったりに
脱帽させられましたね。

ぜひとも読んでほしい作品です。
2011.02.11 『八朔の雪』
澪つくし料理帖シリーズ第1弾の『八朔の雪』
本屋さんでおススメされて買ってみましたら
めちゃ面白い作品でした。

上方から江戸に下ってきた料理人の澪と
元おかみのお芳、
料理屋「つるや」の主人種市と
心にキズを持つ人々の交情がテーマです。

涙なしに読めない作品となっており、
大店の登龍楼の攻勢にもめげずに
ちいさな「つるや」を守っていく姿が
感動を呼びます。

おいしいものをいただくことは
一番身近な幸せだと思います。
そんなことを改めて思わせてくれる作品です。
インフルエンザでダウンしてしまい、
更新が全然できませんでした。

佐藤賢一作品の『傭兵ピエール』です。
この作品は、マンガ化されたこともあるという
それほどエンタテイメント性のある作品です。
ジャンヌ・ダルクとともに戦う前半と
捕われたジャンヌ・ダルクをすくう後半に分かれています。

恋と撃剣と政争という黄金トライアングルで
さらに美女と野獣的な要素も加わって
ハラハラドキドキのストーリーとなっています。

ただ、最後のほうの暗殺稼業のところは
あってもなくてもよいのかなという気もしますけど。
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