上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
佐藤賢一作品の『ジャンヌ・ダルクまたはロメ』は
この作者には少しめずらしい短編集です。
ほとんどが長編ですからね。

『ジャンヌ・ダルクまたはロメ』
『戦争契約書』
『ルーアン』
『エッセ・エス』
『ヴェロッキオ親方』
『技師』
『ヴォラーレ』
の7つの短編が収められています。
統一したテーマで集められているわけではないです。

それぞれに面白い作品なのですが、
なかでも好きなのは、『戦争契約書』です。
イングランドから大陸に
一旗揚げるためにやってきた2人の青年が
契約書を巡っていろいろな条件を重ねていくというもので
欧米の契約社会というのがこっけいに描かれます。

はじめの3つはフランス、特に表題作と『ルーアン』は
ジャンヌ・ダルクに関した短編で、
真ん中の『エッセ・エス』はスペイン、
後半の3つの作品は、イタリアが舞台で
レオナルド・ダ・ヴィンチにまつわる話となっています。
スポンサーサイト
山本周五郎作品の『ながい坂』。
晩年の長編作品です。

平侍出身の三浦主水正が主人公で
立身出世と藩内抗争のおはなしです。

三浦主水正は8歳の時に、
小さな橋が取り壊されたのを見て
理不尽を感じ、出世していこうと決めます。
さまざまな障害を乗り越えて、
藩内改革をめざし、城代家老になるまでを描きます。

さまざまな短編のエッセンスが散りばめられていて
あ、この個所はあの短編だな、というのが
たくさんあります。
晩年の集大成的にできた作品ならではなのでしょうか、
そういう意味では、触発されます。

ただ、主水正が非常に老成していて
人物としてはあんまりにも面白みのない主人公です。
そのあたりを山の森番をしている大造や
滝沢兵部、津田大五などの登場人物が補っており
主水正よりも脇役のほうが魅力的に読めます。

短編のほうがわたしは好きですが、
代表作の一つですので、ハズレではないと思います。
2011.01.26 『椿山』
武家ものを続けようと思い、読んだのは
乙川優三郎作品の短編集『椿山』です。

『ゆすらうめ』
『白い月』
『花の顔』
『椿山』

武家もの続けようと思ったくせに、
前半の3作品は武家ものではありません。
『椿山』のみ武家もので、中編と言っても良い
一冊のうちの半分の分量があります。

女郎と妓楼の会計の再生と挫折、借金苦、介護の問題と
前半3作は、なかなかヘビーなテーマです。
ヘビーなのですが、それぞれラストには
一条の光がさしのべられているという展開です。
主人公の心の内が変わっていく様が
感情移入してしまいます。

そして、『椿山』。
激しい上昇志向を抱き、藩内で出世していく
主人公才次郎の物語です。
初恋の相手と親友に裏切られたと感じた才次郎が
藩の上層に食い込んで権力をおさめますが、
どこかそうした生き方を拒む力が働くというストーリーで
清々しい印象が強く残ると思います。

基本的に、重々しい作品が多い作者なので
そんな雰囲気に耐えられそうなときに読んでくださいね。
2011.01.26 『冤罪』
藤沢周平作品でも武家を題材にした作品を集めた
短編集『冤罪』です。

『証拠人』
『唆す』
『潮田伝五郎置文』
『密夫の顔』
『夜の城』
『臍曲がり新左』
『一顆の瓜』
『十四人目の男』
『冤罪』

ちょっと思っていたのとは違うハッピーエンドが
用意されている『証拠人』や
この作品集の中でもひと色違ったユーモアがある
『臍曲がり新左』など
かなり楽しめる9編です。

わたくし、がんじがらめマン個人的には
どうやらオチを好むようでして、
オチがないと言うのか余韻たっぷりで終わるパターンも
けっこうある藤沢周平作品ですので
わたしにはしっくり来る短編が多かったように思います。

この作品集は以前に読んでるのですが、
全く記憶になかったことを申し添えます。
こんなに面白い作品集なのに、
自分でも不思議でたまりません。
宮城谷昌光作品の『楽毅』です。

中国の戦国時代が時代背景となり、
小国の中山国で奮闘する前半と
中山滅亡後、燕という国で活躍する後半に分かれています。

個人的には前半の趙の武霊王との知恵比べというのか
小国の中山が大国を相手に抵抗する話が好きです。
最終的には滅んでしまうのですけどね。

後半になると、戦国の七雄に数えられる
燕に移住してまたまた活躍します。
楽毅といえば、この燕時代の活躍のほうが有名です。
外交、軍事と八面六臂の活躍で
当時のスーパーパワーであった斉の国を滅亡寸前に追い込みます。
このときの奇襲は正に奇襲の最たるもので
あっという間に斉の国の大半を押さえます。

この作品は、宮城谷作品の中でもかなり面白い部類に入ります。
『孟嘗君』の姉妹編と言ってもいいと思いますが
併せて読むとより理解が深まるかなと思います。

ただ、戦国時代の合従と連衡についてがどうしても
ややこしくて難しいと思います。
名作『赤ひげ診療譚』です。
山本周五郎作品の中でも、代表作の一つですね。
黒沢映画にもなっている傑作です。

主人公は傷心の若い医師、保本登で
実は赤ひげの新出去定ではないんですよね。
はじめは、拗ねている保本登が
赤ひげに次第に心を開いていき、
小石川診療所で生きていく決心をするという
成長の物語です。

新出去定は貧しい人たちの味方となり
隠し売女や貧民街を診察してまわりますが、
お上からは診療所予算の縮小など締め付けられ
お金持ちから高い報酬をふんだくって
タダで貧しい人を診察していきます。
その二面性というのか、
一筋縄ではいかない人間としての深みがいいです。
そして、読んでいるうちに新出去定が
山本周五郎その人の分身にしか見えなくなります。

連作短編集で読みやすいです。
涙なしには読めない一家心中の物語とか夫婦の話、
サイキックホラーばりで保本登が赤ひげを認める話
子どもを次々に売り飛ばす鬼のような親の話とか
いろいろなバリエーションのストーリーを
楽しむことができる作品です。

これはファンならずとも必読の書です。
登の心の移り変わりを是非堪能してみてください。
三部作のフィナーレは『啓順純情旅』です。

現在でいうところの兵庫県で医者として
安穏な日々を過ごしていた啓順に追手がかかり
今度は伊勢に流れ着きます。
『純情旅』では、医者働きの場面はぐんと減り
極道ものとしての働きが中心になります。

伊勢で渡世人としての名を挙げた啓順ですが
伊豆で診たおきよが啓順に会いたがっていると聞いて
やけぼっくいに火が付きます。
といっても、診察しただけなのですけど。

そのあとは、追っ手だった並木勘助と意気投合し
大親分の聖天松に反旗を翻します。

おきよとの恋は悲劇的に幕を閉じますが
濡れ衣は見事に解決します。ただし、「啓順の中では」ですけど。
しかも、秘書『医心方』も見つけることができます。
ということで、啓順は晴れて医者として生きていくことになります。

解説を読んでいると、事実のなかに
虚構のキャラクターを自在に動かしているということで
リアリティあるストーリーに仕上がっているとのこと。
実際、読みだすと止まらない魅力があります。
第2部『啓順地獄旅』です。

元師匠の奥医師、長庵に京にあるという秘書『医心方』を
探し出せという命令で、上方なら大丈夫とふんだ啓順は
京に向かいますが、執拗に聖天松に追いかけられ
結局甲斐や駿河あたりをウロウロ逃げ回ります。

甲州で医者として已む得えず胎児を手にかけてしまった啓順は
一念発起、逃亡生活を終わらせて医者として生きていこうと決心。
お金も巻き上げられてしまって無一文で
京にたどり着き、流れ流れて播磨の社で
念願の医者として生活を始めます。

続く逃亡生活ですけど、敵同士がばったり出会うという
場面がほとんどないのが、この三部作の特徴の一つだと思います。
吉川英治作品なら偶然につぐ偶然でハラハラドキドキですけど、
やはり佐藤雅美作品ならではですよね。
佐藤雅美作品の三部作『啓順凶状旅』シリーズを一挙に読みました。
このシリーズは、医者崩れの啓順が
人殺しの濡れ衣を着せられて
大親分の聖天松からとお上から追いかけられるという話です。

逃げながら真犯人を追うという話で非常にスリリング。
しかも、医者崩れとあって頼まれて診療すると
素人離れした漢方薬の使い方から
生薬屋をたどられて居所がばれるという繰り返しで
ひとところにとどまっていられないのが面白いです。

そしてこの『凶状旅』のラストには、
真犯人が死んでしまい潔白を明かすことができなくなってしまいます。
このまま逃げ続けるしかないのか。

ということで、一度読みだすと止まらなくなります。
医者として患者を助けながらも
渡世人として悪も辞さないという無茶苦茶さがいいです。

ぜひ、読んでほしい作品の一つです。
山本周五郎作品の短編集『生きている源八』です。

『熊谷十郎左』
『西品寺鮪介』
『足軽槍一筋』
『藤次郎の恋』
『聞き違い』
『新女峡祝言』
『立春なみだ橋』
『豪傑ばやり』
『生きている源八』
『虎を怖るる武士』
『驢馬馴らし』
『戯曲 破られた画像』

12の短編で一番印象深いのは『立春なみだ橋』です。
武家ものが多い中で、この作品は
山本周五郎作品でも珍しい極道者がメインです。
道を外しそうになった新吉は
罪滅ぼしのために岡っ引きの親分から
息子を行方知れずにしてしまった母の
子供の身代わりとなって
親孝行をするようになります。
そのうち、昔の悪なかまがやってきて…という筋。
タイトルの通り、ほろりとさせられます。

そのほかの作品も含めて戦前の作品です。
『足軽槍一筋』は似たようなオチで
短編集『与之助の花』に収められている『武道宵節句』があります。
ほかにも似たような作品があったと思います。

『驢馬馴らし』は『青べか物語』の原型のひとつで現代もの
戯曲も現代ものです。
2011.01.07 『無影剣』
上田秀人作品の『無影剣』を読みました。
『竜門の衛』シリーズの3作品目です。

今回は徳川幕府草創期までさかのぼる陰謀を探るという
ちょっとスケールアップした感じのストーリーです。
主人公は、前作から時間を経た三田村元八郎。

ただ、話が入り組みすぎていて整理するのが大変でした。
将軍後継問題とか朝鮮通信使とか
外様大名の陰謀と隠れキリシタンなどと
非常に大ネタが多すぎるように思いましたし、
最終章の謎解きのところは、読み直さないといけませんでした。
アタマの悪いわたしのような読者には、
ちょっと難物だったかなと思います。

何も考えずに読みたいタイプの作品と
思っていただけに甘くみてましたねぇ。
藤本ひとみ作品の『皇帝ナポレオン』です。
思いのほかな分量で、時間がかかりました。
なお、2010-11は、この本でまたぎました。

新聞記者の卵、モンデールがナポレオンの取材をとおして
実相に迫っていくという語り口で進みますが、
前半はエロ満載でちょっとエグいくらいでした。
完全にエロ小説やんという所を乗り越えると
後半はエロ要素がぐんと減りますが、
戦闘行動の羅列みたいなところが多くて少し退屈。
一転、ラストはかなり面白いです。

ということで、長丁場をほぼ我慢していかないと
おいしい果実にはありつけないという展開になってます。
前振りが長すぎると思いますね。
実際、前述の通り全編を通すと
展開がひねってありますし、面白いのは間違いありませんが
我慢が続くかはその人次第でしょうね。
塩野七生作品の『ローマ人の物語』から
有名なローマの五賢帝のうち、
トライアヌスからアントニヌス・ピウスまでの
『賢帝の世紀』です。

なかでもアントニヌス・ピウスについてが
非常にボリュームが小さいのが気になりますけど
前路線の継承・発展ということで
特筆することがないそうなのです。

ローマ帝国の最大版図を築き、平和を謳歌した時代と
いわれるこの頃のローマ世界ですけど
実は、記録などがあんまり残ってないようで
思いのほか作者も苦労しているようです。

この後の展開は滅びに向かうことになります。
異民族の侵入という結果はすでに知っていますが
どんな末路をたどるのでしょうね。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。