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杉本苑子作品の『二条院ノ讃岐』です。
平安末期の歌人として有名な女性、讃岐の局を
4人の女性が語るという構成になってます。

讃岐の局については、まったく知識がなかったので
源三位頼政の娘だったことや天皇の寵愛を受けていたことなど
本当に初めて知りました。
小倉百人一首に和歌が入っているらしいです。

で、4人の女性が順番に讃岐の局について語りながら
保元、平治の両度の乱と頼政挙兵にかかわる
平安末期の歴史も当事者として語るというスタイルです。
そして、讃岐の局自身は天皇の愛人から神崎の遊女になるという
波乱万丈の人生を送っていたということが明らかになります。

といいつつ、半分以上は頼政をはじめとする
摂津源氏と朝廷の権力争いの話になっていて、
讃岐の局がキーになるのは
4人目の語りの部分になっています。

4人の女性目線が、けっこう面白い作品です。
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司馬遼太郎作品の『義経』です。

劇的な人生を送った九郎判官ですが、
作者から言わせれば、「政治的痴呆」だそうで
戦略の頭脳と政治的思考を持ち合わせていないことの
ギャップが悲劇を生んだということです。
この「痴呆」という単語が何回出てくるか。

小説とはいえ、やはり司馬作品ですから
粛々と筆が進んでいきます。
腰越状からあとの転落の日々は
ほとんど描かれず、安宅の関のくだりは一言も出てきません。

美化されがちな主人公の裏面というのか
異常なまでの女好きとか見栄坊な面など
やはり、この作者ならではの筆致だと感じます。
そこも描いてこそ、義経と言う人がわかるんでしょうね。

源平時代を知るなら、この作品も読んだほうがいいでしょうね。
判官びいきの人にはちょっとツライかもしれませんが。
2010.09.21 『銀漢の賦』
葉室麟作品『銀漢の賦』。
松本清張賞の受賞作だそうです。

手っ取り早く言えば、友情の物語。
わたくしがんじがらめマンの涙腺を刺激するテーマです。
50代になっても、若いころに培った友情は
深いところでつながっていたという主題で
タイトルもそこから付けられています。
そして、タイトルの謂われがわかるシーンは
ここ数年で一番の名シーンと言っていいでしょう。
(あくまでも、私の中でという意味ですよ)

主人公は、名家老の松浦将監と日下部源五。
身分は違っても、幼馴染で仲の良かった二人が、
もう一人の親友の死がきっかけで20年来の絶縁状態。
藩の権力争いにかかわって二人の友情が
復活していくというあらすじです。
語り手が変わっていったり、回想がはいったりと
けっこう手が込んでいますが、
ぐいぐい引き込まれていきます。

恋と撃剣と権謀術数と黄金パターンで面白くないわけないですし、
文体が硬派なうえに、漢詩がいいところで出てくるので
男前(オットコマエ)な感じに仕上がってます。

ここまで褒めたんで、もうお分かりと思いますが、
たくさんの人に読んでもらいたい作品です。
岩井三四二作品集の『たいがいにせえ』です。
7つの作品が収められています。

『祇園祭に連れてって』
『一刻は千年』
『太平寺殿のふしぎなる御くわだて』
『信長の逃げ道』
『バテレン船は沖を漕ぐ』
『あまのかけ橋ふみならし』
『迷惑太閤記』

主人公が難儀に襲われるという共通テーマ。
作者の『難儀にござる』の姉妹作品とも言えます。
佳作ぞろいで、楽しい読書です。

なかでも『祇園祭に連れてって』は、ラスト感動でした。
京都の町衆が復興したとされる祇園祭。
復興した立役者が三佐衛門という主人公。
孫のために頑張るのが、また、一興な動機付けです。

『あまのかけ橋ふみならし』は、荒木村重の妻、だしが主人公。
この作品を読んだ後、遠藤周作作品『反逆』が読みたくなりました。
主人公の性格づくりが正反対ですので。
また、そのうち読もうっと。

『バテレン船は沖を漕ぐ』『迷惑太閤記』なども
なかなか楽しく読みました。
それぞれ、郷に入りては郷に従えができないバテレンや
歴史に汚名が残ることに反抗したオヤジなど
こんな話、実際にあったんだろうなと思わせてくれます。

短編集なので、スルスルっと読めるはずです。
永井路子作品集『からくり紅花』。
7つの短編が収録されています。

『雪の炎』
『卯三次のウ』
『春の狂気』
『からくり紅花』
『わいろ』
『竜華寺みち』
『眠れる美女』

うち、最後の2作品は語り手が現代。
でも扱うのは明治ころの話と
ちょっとひねってあります。

ミステリーと裏表紙にリードされており、
フランス映画で言うノワール的な
作品集とも言えるように思います。

『雪の炎』が出色だと思います。
復讐と恋のはざまで葛藤した娘を
余韻たっぷりに思い起こさせるという手法で
巧者ぶりを発揮という感じでしょうか。

コアなファン向けと言っていいかなと思います。
『一人ならじ』読み方は、「いちにんならじ」ですよ。
山本周五郎作品の武家ものを中心にした短編集です。

『三十二刻』
『殉死』
『夏草戦記』
『さるすべり』
『薯粥』
『石ころ』
『兵法者』
『一人ならじ』
『楯輿』
『柘榴』
『青嵐』
『おばな沢』
『茶摘は八十八夜から始まる』
『花の位置』

戦前、戦中の作品が多いせいか、戦争を扱ったものが多いです。
特に、戦中の作品は戦意高揚っぽくみえるものが多くて
メッセージは、「平常心が大切」「常の覚悟」みたいな
検閲は通るだろうと思われるものが多いです。
新潮文庫の解説によると、当時は功名心にはやる風潮があり
それを批判する作品が多いとのこと。
わたしのような戦争を全く知らない世代にとって
感覚的にはよくわかりませんので、
戦後の作品のほうが、面白く感じてしまいます。

特に、『青嵐』『茶摘は八十八夜から始まる』ですね。
『青嵐』は夫婦の愛情がテーマで、読後感が爽やかです。
夫婦がすれ違いの危機を乗り越える話ですが、
夫婦のテーマは、『さるすべり』にも共通します。

『茶摘は八十八夜から始まる』は岡崎ものの変化球バージョン。
ちなみに、この作品集では『薯粥』が岡崎ものです。
で、『茶摘は八十八夜から始まる』は
絶望からアルコール依存になり、
藩をつぶしてしまった本多出雲守政利と
同じくアルコール依存になりかけの
老職の息子平三郎の再起の物語です。
現代にも通じるような話ですが、昭和32年の作品。
すごい筆力やなぁと改めて感動しますよね。

最後の『花の位置』は現代もので日本婦道記シリーズです。
山本周五郎作品にかえってきました。
本日の更新は、『酔いどれ次郎八』です。

『彦四郎実記』
『浪人一代男』
『牡丹花譜』
『酔いどれ次郎八』
『武道仮名暦』
『烏』
『与茂七の帰藩』
『あらくれ武士道』
『江戸の土圭師』
『風格』
『人間紛失』
戦前の作品を中心に集めた短編集です。

中でも印象に残ったのは
名作『樅の木は残った』の後日談的な物語である『牡丹花譜』、
表題作の『酔いどれ次郎八』。
無私の友情をテーマにした作品です。
同じテーマの作品には事欠かないですね。
『与茂七の帰藩』『江戸の土圭師』も佳品だと思います。

『武道仮名暦』は、『おしゃべり物語』の習作のような作品です。
もちろん、『おしゃべり物語』のほうが面白いですが。

『風格』と『人間紛失』は現代ものです。
海音寺潮五郎作品『孫子』にインスパイアされて
読んだのは、傑作の呼び声高い作品です。

全5巻のボリュームですが、ハイペースで読める
宮城谷昌光作品の『孟嘗君』。
これは、作者の代表作だと思いますし、
一、二を争う面白さだと思っております。

タイトルこそ『孟嘗君』ですが、
主人公は前半が風洪、後半が孟嘗君の田文です。
この作者の特徴でもありますが、
長編作品は後半息切れ気味になりがちだと思います。
この作品も例にもれず、
尻すぼみっぽい気がしないでもないなぁと。

謎解きの要素が加わるためか前半は
興奮すること間違いなし。
孟嘗君の養父である風洪がたいへん魅力的ですし、
風洪をめぐる人々が面白くて仕方ないです。
公孫鞅、孫子の孫ひん(月へんに賓)など関わる人が大物揃い。

特に孫子救出作戦のくだりは前半のクライマックスです。
先が気になって夜眠れなくなります。
作者のあとがきにも、風洪が面白くて
作品が長くなったと書いてありますよ。

また、孟嘗君が秦の国から脱出する場面で
ほとんど物語は終わりまして、
晩年にはあんまり費やされてません。
その後をより知るには同じ作者の
戦国時代の他の作品にも
孟嘗君が出てくることが多いので、
『楽毅』や『奇貨居くべし』なども
あわせてチェックするとより楽しめると思います。

未読の方は、ぜひチャレンジを!
2010.09.13 『孫子』
海音寺潮五郎作品の『孫子』です。
改訂される前の文庫を持っていますが、
何年か前に分冊になっていると思います。
ということで、手持ちのは非常に分厚い文庫です。

『孫子』には、前半が孫武、後半は孫ひん(月へんに賓)が主人公。
孫武編は、春秋時代の呉と楚の争いを中心に、
というより伍子胥とのダブルキャストですね。
孫ひん編は戦国時代の孫ひんのエピソードになっています。

史料にないところは、想像力でカバーしてくれていて
かなり面白く読めるのと、
考証がすぐれている海音寺作品ですので、
ところどころに作者が解説をしてくれ
知識がどんどん増えていきます。

中国の春秋戦国時代を知るのにも適しています。
海音寺潮五郎作品の『吉宗と宗春』です。
上田秀人作品『孤狼剣』で登場した二人なので
ゆかり作品として読みました。

もともとは『風流大名』というタイトルだったのが
改題に改題を重ねて
『吉宗と宗春』に落ち着いたそうです。
暴れん坊将軍で有名な吉宗も
実は現実主義者でけっこう冷酷だったという性格描写で
宗春のほうは闊達な性格に描き分けられています。
そして、二人の対立が、
おもに宗春視点で描かれていきます。

どちらも有能な人物だったから
庶子から藩主や将軍に登り詰めることができたんでしょうね。
文春文庫解説にもありますように、
二人の性格対比がミソになっています。
2010.09.06 『孤狼剣』
上田秀人作品の『孤狼剣』は、『竜門の衛』の続きです。
ミステリー感覚でも読めますよね。

今回は、将軍吉宗と尾張藩主の宗春の確執に
桜町天皇への幕府の圧迫が絡んで、
元八郎の奔走が始まります。
ライヴァルは柳生主膳という剣士で
このような撃剣小説では、柳生一族は欠かせませんね。

前作もそうですが、今作品もするする読めました。
元八郎に盗賊が絡んで登場したり、忍者が出てきたりと
エンターテイメント性が高いせいでしょうね。
褒めてるのかけなしてるのか微妙な表現かもしれませんが、
何も考えずにただ楽しめるところがいいです。
いい意味に取ってくださいね。
2010.09.06 『華栄の丘』
宮城谷昌光作品『華栄の丘』です。
中国の春秋時代を題材にした長編です。

春秋時代の宋という国の宰相だった華元が主人公。
鋭さはないけれども、
丸く収める型の宰相で厭戦的な人です。
当然、陰謀や暗殺が渦巻く世の中なのですが
徳や礼を重んじることで乗り切っていきます。

一冊で完結する長編で、読みやすく
礼を重んじた『子産』よりもこの作品読むほうが
わかりやすいような気がしますね。
単に好き嫌いなのかもしれませんが。

人殺しや戦争が嫌いでも、
クライマックスの場面は籠城する場面。
やはり混沌とした時代ならではでしょうね。
8月を歴史、時代小説のためだけに費やしたので
9月に入ってからは、ジャンル違いの本を読んでました。

やっと読み終えたのは、『悪名高き皇帝たち』。
ローマ人の物語の文庫通巻17~20の4冊です。
アウグストゥスの帝政を受け継いだ
4人の皇帝の事績について述べられています。
ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロと
続いていくわけですが、
この本を読む前に知ってたのはネロだけですね。

おじさん、若者、おじさん、若者と
年齢で言えばこのように続いていくのですが、
2人の若者はエキセントリックで暗殺されたり
失脚させられたりと皇帝も大変です。

皇帝たちも人間だということが書きたかったんでしょうね。
作者は、悪名ほどは悪くなかったということを言ってます。
皇帝という重責やプレッシャーに負けたと言うことでしょうね。
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