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2010.07.27 『雪山飛狐』
中国の武侠小説と言われるジャンルの作品。
友達に勧められて読んでみました。
金庸『雪山飛狐』です。

とにかく、金庸という作家の作品が面白いということで
1冊ものの本作品をチョイスしたわけですが、
伝奇小説みたいな、ミステリー小説みたいな
といった感じのイメージですね。

時代は清の時代、乾隆帝と書いてありましたので
清の最盛期と言ってもいいと思います。
小説自体は、一人の男の死の謎をめぐって、
また、財宝をめぐって虚々実々の駆け引きがあり
なかなか手の込んだストーリーになっています。

武侠小説というジャンルがあったこと自体
この読書まで知りませんでしたし、
ちょっと読んでみよっかなぁくらいの気持ちで
本を手に取ってみたのですが、
意外に面白くてサラッと読めました。

大衆向けの、日本で言う次郎長親分とか
国定忠治なんかを小説にしたような感じなのでしょうか?
寡聞にしてよくわかりませんけれども。
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池波正太郎作品の『人斬り半次郎』です。
『賊将』というタイトルの短編もあるみたいですが、
今回読んだのは、2巻ある長編のほうです。

幕末・維新の薩摩藩士、中村半次郎が主人公です。
維新後に改名して、桐野利秋となりました。

はげしい上昇志向と剣の腕前をもち、
西郷吉之助に見出された半次郎が
恋に撃剣にと、京の都で大暴れし、
維新後は陸軍少将として闊歩するも
西南戦争を引き起こして
非命に倒れるというストーリーです。

半次郎が主人公なので、幕末の激動も
薩摩や半次郎にあんまり関係ないところは
速足に過ぎていくのが、いい感じでした。

また、半次郎が西郷を西南戦争に巻き込んでいく
あたりの微妙な機微が非常に面白かったです。
命を捨てて、お国のために働く西郷を
桐野や篠原といった、薩摩閥の面々が
自分は西郷さんの代弁をしているのだという気持ちで
内戦に引きずっていくという、あたりが皮相で、
担がれる西郷は、どんな気持ちだったのかなと
維新の悲劇を思わずにいられませんよね。

幕末・維新がわかりやすく書かれているので、
入門書としても、良い本だと思います。
幕末の魅力に取りつかれている今日この頃。
司馬遼太郎作の作品『世に棲む日々』です。
代表作とまでは行かないけれど、
それでも個人的には好きな作品です。

主人公は、前半吉田松陰、後半高杉晋作。
幕末の過激思想家と現実的な革命家の弟子という組み合わせ。
全四巻ですけれども、パパッと読めますし
なんといっても、わかりやすくしてくれています。

学生のころに、妙にイキッて
吉田松陰が獄中で書いたものを中心にした『留魂録』という
書簡などを集めた書物に手を出したことがあります。
これなどを読みますと、吉田松陰のエキセントリックな考え方に接し、
なんとも言えない気持ちになって、吉田松陰に対する
熱気が冷めてしまったことがあります。
また、今の時代の感覚からすると、サヨクの皆さんだったら
のけぞるかもしれない(?)海外侵略論が書いてあったりします。
まあ、簡単には読めませんわね。

やっぱり、優れた書き手の頭を借りて
読みやすい小説で読むあたりが私、がんじがらめマンの限界です。

この作品は文春文庫の新装版で読んでますが、
作者の文庫版あとがきと松本健一解説も
非常に面白いです。

本ブログの顔を飾る高杉晋作の雄姿を堪能するにも
うってつけな長編小説ですよ。
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2010.07.19 『火城』
本日3回目の更新は、『火城』です。
高橋克彦作品です。

幕末の佐賀藩にいた、佐野常民が主人公です。
当時、技術立国ならぬ技術立藩していた佐賀藩で
蒸気機関を開発しようとした人物の
前半生を描いています。

開発のために、人材を佐賀に引き抜いて
クライマックスでは、見事に
蒸気機関車の雛型を藩主鍋島閑叟の眼前で
走らせることに成功します。

幕末の沸騰した世相の中で
開国後のことを見通して蒸気機関の開発に
力を注いでいく人物像が非常に
魅力的に描かれていきます。

この作品中では、彦根藩の長野主膳が
いい役どころである一方、
勝麟太郎のエピソードはカタなしです。
目の付けどころがいいですよね。
2010.07.19 『天狗争乱』
読みたかった作品の一つでしたが、
やっと読了しました。
吉村昭作品『天狗争乱』です。

約千名の天狗党のうち、ほぼ三割が
打ち首になってしまったという幕末が生んだ悲劇です。
徳川慶喜の冷酷非情さが生んだ悲劇とも言えます。
読後、徳川慶喜という人物が最悪に思えます。

水戸藩内抗争や誤解などがかさなっていく様子、
西遷の過程などが克明に記されていき、
天狗党に激しい同情を感じずにはいられませんでした。

思想の対立が残酷な内ゲバに発展していくことは
これまでもいろいろな例がある通りですが
天狗党の挙兵も似たような経路をたどります。

また、農民とのやりとりなども
非常に詳細に書かれているところが
史料を大切にした痕跡がたどれます。

かなり読み甲斐がある作品です。
でも、一読の価値あり、です。
サブタイトルは『会津藩士秋月悌次郎』
中村彰彦作品です。

時代は幕末で公武合体派と尊王攘夷派が
鎬を削っていたころに
薩会同盟締結の立役者として活躍していた
秋月悌次郎の一生を追います。

ほとんどは藩の外交を任されていた時期に
筆が費やされますが、
秀才として名をはせた書生時代や
北海道に左遷されてしまう不遇の時代
会津が賊として討伐の対象になる鳥羽伏見以降、
熊本の五校で教鞭をとる晩年など
波乱万丈の人生です。

あとがきにもあるのですが、
文官だった悌次郎の一生なので
ある意味では地味な面も否めないです。
けれども、交渉方を一手に引き受けて
藩や後進のために努力する姿が
けっこう感動的です。
第5弾に続き、第6弾『四両二分の女』です。
佐藤雅美作品です。

この巻の最後には、亡き父と同じ定廻り同心に
抜擢され涙を流す紋蔵です。
となると、タイトルはこの巻以降変わるのか?
というようなしょうもないことを考えてしまいます。

隠し売女、博奕、入れ札などでは
お金に汚い(?)上役の沢田六平とやりあう場面も多く
また、現代の宝くじ当選者のエピソードでも
奇特な家主が、お奉行のようにスラスラと
お金が絡んだ訴えを自腹を切って解決したりと
お金にまつわるエピソードが多い第6弾です。
居眠り紋蔵シリーズの第5弾『老博奕打ち』です。
久しぶりにこのシリーズを読んでみようと
手に取ったわけですが、
やっぱり、面白いですね。
すぐに読み終わってしまいました。

第5弾なので、感想も結構書きつくした感も
ないことはないですけれども、
文吉がばくちをし始めるエピソード『烈女お久万』が
紋蔵の度胸のよさというのか子煩悩さがあるし
痛快なところもあって面白いと思いました。

一話完結がわたしには、やっぱり助かりますね。
藤本ひとみ作品の短編集です。
表題作をはじめ、
『令嬢アイセの秘事』
『ダンフェル婦人の断頭台』
『農夫ジャックの幸福』
の4作品が収められています。

正直に言って、半ばくらいまで読んだとき、
失敗したかなと思いました。
タイトルの通りにかなり淫らな感じだったので。
前半は本当にイマイチだと感じましたが
他の人はどう言うかわかりませんね。

なんとか持ちこたえたのは後半の2作。
フランス革命当時が題材です。
中でも読む価値あるかなと思えたのは『農夫ジャックの幸福』。
どんでん返しが待っているという点で
展開が非常に面白かったです。

2010年7月時点では、
普通にはあんまり手に入らないと思いますが、
ファンでなければスルーしていいでしょう。
『ローマ人の物語』シリーズから
『パクス・ロマーナ』です。
文庫の14~16巻です。

初代皇帝のアウグストゥスの治世についてが
詳しく記述されています。
本当にローマ史の勉強という感じです。

初代皇帝ということですが、
なし崩し的にその地位を固めていったということで
確かに、世界史の教科書にはこの時期を
「元首政」と載っていたような記憶もあります。
ローマ皇帝ということを前面に出さないまま
実質的には絶対権力者という
いまでもフィクサーとかキングメーカーとは
意味合いは全く違いますが、
権力持っている人ということでは、そんなイメージでしょうかね。

あとは、禅譲によって権力の座に
ついているにもかかわらず、
アウグストゥス自身は、血統にこだわったというのが
非常に面白く感じました。
そして、その血統が次々に途絶えていくということになります。
これも、世襲の弊害なんでしょうね。
2010.07.09 『竜門の衛』
上田秀人作品の『竜門の衛』です。

この作者の作品は初めて読みました。
歯医者さんなのだそうです。
すごい数の作品を書いているので
どっちが本業なんでしょうか?
なんていう、疑問も率直に浮かんできます。

定町廻り同心の三田村元八郎が、大岡越前の声がかりで
幕府の後継者をめぐる権力闘争に関わり
次代将軍、天皇、勅使を護衛するというストーリー。
ミステリータッチの剣豪小説とでもいいましょうか。
話の展開がはやくて、スリリングです。
早い話が娯楽小説ですね。
剣豪や忍者といった敵をバッタバッタと
なぎ倒していきます。

単純に楽しめました。
わたくし、続きの作品も購入してありますが、
この作品だけでも話が完結していまして、
それで十分なのかも知れません。

冒頭にも載せてあるとおり、沢山の作品がありますが、
人気なのも分かります。
2010.07.06 『実朝の首』
葉室麟作品の『実朝の首』です。

源実朝が甥の公暁に討たれたことは有名ですね。
その実朝の首をめぐる攻防を描いたのが
この作品です。

和田合戦で敗れた和田一族の残党と幕府、
そして後鳥羽上皇をはじめとする朝廷が
将軍の後継者や権力の統合、旧主の仇討ちなど
様々な思惑の中で三つ巴の争いを繰り広げます。

実朝と言えば、歌人のイメージがあるので
読む前は和歌がキーになるかなと
勝手なイメージを持ってました。
しかし、よくよく考えると『実朝の首』というタイトル。
和歌ってどこにも書いてないじゃないですか。

でも、いい意味で裏切られたというか、
スリルとサスペンスに満ちたストーリーで
非常に読み応えがありましたし、
あっという間に読み終えてしまいました。

幕府内の権力争いだけではなく、
朝廷と幕府の駆け引きも視野に入れると
この鎌倉時代初期が面白くなりますね。

魅力を存分に伝えきれていないと思いますが、
かなり面白いと思います。
2010.07.05 『炎環』
鎌倉時代の中枢権力に迫る『炎環』。
永井路子作品です。
短編集ではないという作者自身のあとがきがありますが、
4つの作品が収められている作品集です。

『悪禅師』
『黒雪賦』
『いもうと』
『覇樹』

鎌倉草創の源頼朝や北条政子、北条時政といった人物たちを
衛星的にとりまく阿野全成、北条保子の夫婦、
御家人である梶原景時や最終的に権力を手にした北条義時と
4人の人物がそれぞれの目線で鎌倉草創期を
生き抜いていきます。

平家討伐はもちろんですが、幕府なった後の
有力御家人の相次ぐ失脚、動揺する将軍家など
この時代の血みどろの争いが凄惨でもあります。

この作品は直木賞受賞作だったらしいです。
頼朝を真正面から取り上げるのではなく
側近や家族を取り上げることで
鎌倉の不安定さであったり、権力の微妙さであったり
そういうところが浮き彫りになっていると思います。

源氏3代で滅亡で、北条家にトンビに油揚げですもんね。
なかなか悲喜劇です。
正直言って、やっと読破できました。
ほぼ、1か月かかりました。
分量が多いのと、ワールドカップ観戦のせいです。

最終盤は、やっぱり最終章の『吉野雛』ですかね。
ラストシーンが胸を打ちます。
やや抹香臭い気がしないでもありませんが、
半世紀に及ぶ栄枯盛衰を目の当たりにしてきた
麻鳥・蓬子の述懐で幕を閉じます。

また、平家が壇ノ浦で海に散りますが、
一門がまがりなりにも結束を保つ家族であるのに対し、
源氏のほうは内ゲバ続きで一族で揉めっ放し。
特に、棟梁の義朝、頼朝はずっと一族と争ってますよね。
とくに、『新・平家』では頼朝を中心とする
鎌倉は権力の府として、冷酷、非情の代名詞です。

歴史上では、鎌倉幕府を開くなど
武権の抗争に勝利するのは源氏ですが、
那須大八郎が隠れたという日向国の椎葉の
平家の家族たちのほうがどこか温かみがある、
そんなことを全編を通じて感じます。

長い作品なので、読み終わった後の達成感は十分です。
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