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織田信長を取り上げた作品というのは
非常に多くあって、がんじがらめマンの家にも
何冊もあります。

海道龍一朗作品『乱世疾走』を紹介したあと
同じ、信長関連作品である隆慶一郎作品をよみました。
それが、『風の呪殺陣』です。

比叡山焼き討ちや身近なものの死によって
信長に対する抵抗を試みる三人の若者、
比叡山の修行僧である、昇運と好運
比叡坂本の山門衆徒である知一郎。

それぞれがそれぞれの立場で信長への
レジスタンスを試みます。

この作品は、他の隆作品群に比べると
見劣りがするような感じですけれども、
作品世界は継承しており、
傀儡子、道々の輩などがでてきますし、
『花と火の帝』での呪いの面でも
タイトルでもある信長呪殺を
昇運は身を削っておこないます。

個人的には、権力への抵抗というテーマは好きなので
気がついたら、読み終わっていたという感じです。
再読でもあるので、よけい早く読み終わったかな。
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2010.04.28 『乱世疾走』
海道龍一朗作品の『乱世疾走』です。

新潮文庫の解説が非常によい表現をしていて
武道家、修験者(僧)、忍者、商人、陰陽師といった
まるで、「ロールプレイングゲームのような職業」の
若者たちが天皇の御庭者となって、
戦国時代の台風の目である、
織田信長を探るというのがあらすじです。

そのうち、誰かが映像化したり、マンガ化したりできるほど
非常にエンターテインメント性にあふれていて
単純に、おもしろいというのと、
香道にまつわる源氏物語や
公家や禁中の実情などの豊富な知識もあり、
面白いというだけではないです。

仲間がどんどん集まってきて、
衝突や相互理解をくりかえしながら
目的に向かって力を合わせるというのも
ストーリー構成の王道をいくものですし、
若い世代にはとっつきやすいと思いました。
血沸き肉躍る少年小説だったという
『神州天馬侠』は作家杉本苑子の
師匠である吉川英治作品です。

武田勝頼の次男、伊那丸が武田残党を率いて
富士の裾野を舞台にチャンチャンバラバラ、
悪党たちを懲らしめます。

なかでも、竹童、蛾次郎という子供が
大鷲に乗って自在に空を飛んだり
魔独楽を操ったり、取っ組み合いをしたりと
縦横無尽の活躍で、
伊那丸を差し置いての主人公です。

水滸伝や八犬伝さながら、
前半は仲間が増えていく話を中心に
伊那丸の仇討が展開、
中盤は甲斐から京都へと幻術使いの
呂宋兵衛などの悪党との戦い
後半は武蔵の御岳での兵法大講会と
次々と見せ場の連続です。

物語には、笹の才蔵や果心居士などが
登場するのも面白いですし、
早足の燕作、蚕婆、鼻かけ卜斎などの
おそらく空想の人物たちも面白いです。

武田一党の一人、咲耶子は後半で
囚われの身になります。
結構、話のキモになっていて
仲間たちは奪回に力を尽くすのですが、
最後はうやむやのままに話が終わってしまいます。
そこがとっても気になる・・・。
杉本苑子作品『檀林皇后私譜』です。
この作品は、平安時代を背景に描かれます。
時代的には、最近読んだ『火怨』のあとにあたり、
永井路子作品の『王朝序曲』とかなり重なります。
というか、『王朝序曲』の視点を皇室にずらすと
この作品になるという関係ですかね。

主人公は嵯峨天皇の妻、橘嘉智子。
奈良麻呂の乱で落ち目の家系を支える役回りです。
藤原冬嗣を中心とする北家と手を結び
皇后の座を射止めます。

そして、嘉智子に恋して叶わなかった
橘逸勢がもう一つの軸になります。
遣唐使で唐に渡り、身を持ち崩して帰ってきて
やがて、嘉智子のライバルになります。
そして、権力闘争に敗れ、承和の変へと進んでいきます。

位人臣を極めながら、
その最後は風葬を望むというその背景が
権力闘争を生き抜いた上での無常観だったというのも
頷けるほど血みどろの争いがテーマになっています。

空海の話や田村麻呂の話など
時代背景が良く分かると面白さが増すと思います。
関連作品とセットで読むのがいいのではないでしょうか。
塩野七生作品『ローマ人の物語』から『ルビコン以後』。
文庫では11,12,13巻です。

11巻はポンペイウスとの内乱、
12巻は国内改革で帝政への移行準備
13巻はカエサル暗殺からアクティウム海戦までと
カエサルのいるところ戦乱ありという状況。
死してなお、内乱は14年も続くということで
英雄というのはある意味、台風の目ですね。

個人的には、特に13巻を興味深く読みました。
結果的には「皇帝」を誕生させるだけの
無意味な14年と作者は語りますが、
後継者争いということでは
なかなかドラマチックだと思いました。

というよりも、カエサルの後半生が
超人的過ぎて、
あんまり共感が持てないだけかも。
そういう意味で、暗殺後のブルータス派の混乱や
クレオパトラの色香に狂ったアントニウスのほうが
人間らしくて面白いかな、と。
郷土を守る戦いをテーマにした
高橋克彦作品『火怨』です。

8世紀後半、平安遷都を挟んでの時期に
若きリーダー、阿弖流為(アテルイ)を
中心とする蝦夷の動向が物語の軸です。

硬派な文体と魅力的な登場人物で
物語世界にぐいぐいと引き込まれてしまいます。
特に阿弖流為のリーダーシップと母礼の頭脳、
それに対するライヴァルの坂上田村麻呂。
それこそ、息詰まる戦いの連続と
戦いの意味が蝦夷の民と心を守るという強烈なものだけに
ラストの2章が鮮烈であり、残酷で、
涙なしには読めなくなってしまいます。

簡単に辺境の征伐とはいうものの
そこに住んでいた原住民にとっては
理由がわからない襲来にほかならないということ。
そういう意味でも考えさせられる作品です。

作者の『炎立つ』『天を衝く』も既読ですが
同じく蝦夷の心をテーマにした作品です。
あわせて読むと面白いと思います。
分量が多いですが、意外とするっと読めるはずです。
前回からのカエサルつながりで『カエサルを撃て』。
佐藤賢一作品です。

主人公はガリアの若きリーダー
ヴェルチンジェトリクスです。
コンプレックスゆえの凶暴で残忍な性格。
本当は不器用なマザコンとでもいいましょうか。

カエサルはもうひとつの軸になっていて
ひどい劣等感の持ち主という設定。
若禿げを気にする神経質な男です。

このほかにヴェルチン側の視点で
ヴェルチンの父の側近でもあった鍛冶屋のアステル、
カエサル側の視点では、頭の切れる百人隊長で
カエサルに夢を託してきたガイウス・マクシムス。
この2人の視点で物語が語られることによって
奥行きが出ているというか、全体が見えやすくなっています。

あと塩野作品でも思ったことですけれど
侵略する側とされる側、どちらの視点に立つかということ。
この『カエサルを撃て』は侵略される側なんですよね。
あるいは敗者と言ってもいいかもしれません。
判官びいきというのもあって
塩野作品のカエサルよりはこっちのカエサルであってほしいと
思ったりするわけです。

再読ですが、読み始めると止まらなくなりました。
ただ、難点は女性の心理描写かなと。
カエサルの妻、ヴェルチンジェトリクスの妻ともに
ちょっとひっかかりを覚えてしまいました。
これは、わたくしがんじがらめマンがもつ
この作者の作品に共通するひっかかりでもあるんですが。ね。
繰り返しになるので、『剣闘士スパルタクス』の記事を見てください。
久しぶりで『ローマ人の物語』です。
文庫の8,9,10巻にあたる
『ユリウス・カエサル ルビコン以前』。

英雄カエサルが内戦に立ち向かうまでの
前半生が主な内容ですが
8巻ではローマの衣服や住居など
当時の風俗や環境などについても
載っていて、興味がそそられました。
また、9,10巻はカエサル本人の著作でも
非常に有名なガリアでの活動が主になっています。

がんじがらめマン自身は
これまで全く興味を示してこなかったので
カエサルの事績も
ポンペイウス、クラッススとの三頭政治以外では
この前半生をほとんど知りませんでした。
亡命、借金王、貴婦人キラーと
なかなかドラマチックな人生ですね。

また、ローマの土木技術と工兵の重要性や
それらが原動力となって
今でもローマ起源の都市となって
ヨーロッパのあちこちに残っているという説に
非常に納得すると同時に
やっぱり歴史を感じずには居られませんでした。
東慶寺にまつわる作品を。

宮本昌孝作品の『影十手活殺帖』。
『尼首二十万石』の姉妹作品で
連作短編集になっています。

餅菓子屋の和三郎と前作で
東慶寺をだましたことで懲戒のため
尼さん修業をしている紀乃に加え、
連作短編集のもう一人の主役
東慶寺の寺役人、野村市助が登場してきます。

夫婦仲のもつれがきっかけで
忠臣蔵の話にもでてくる高田郡兵衛がらみの作品や
西鶴の心中天網島をモチーフにした作品が
うまれてくるところに、
作者の発想のおもしろさが感じられます。

また、野村市助が登場することで
影十手は東慶寺を守ることから
女性全般を守ることになってしまいますが、
それはそれで、楽しいです。
それに加え、紀乃と和三郎の関係も微妙なのが
物語に華を添えているとおもいます。

こんなに面白い本なのに
書店では滅多にお目にかかれません。(2010年4月現在)
インターネットや古本屋さんで探してくださいね。
宮本昌孝作品の短編集『尼首二十万石』です。

表題作をはじめとして、
『最後の赤備え』
『袖簾』
『雨の大炊殿橋』
『黒い川』
『はては嵐の』
以上の6作品が収録されています。

『最後の赤備え』は織田信長の息子で
武田家に人質に取られていた坊丸の話。

『袖簾』では長身にコンプレックスを持つ
尼さんの天光の初恋の物語。

『雨の大炊殿橋』『黒い川』は仇討が題材です。

『はては嵐の』は阿波の三好之長が主人公で
この短編集の中では一番長いです。

そして、表題作『尼首二十万石』。
この短編と次に紹介する本を読むために
前に紹介した『駆込寺蔭始末』を読んでいました。
というもの、作者の隆慶一郎に対する
オマージュではないかと踏んでいるからです。
主人公の和三郎の設定は煎餅屋のとなりの餅菓子屋ですし
東慶寺を影から守るというのもそうです。

というわけで、この短編の姉妹作品
『影十手活殺帖』を次に紹介したいと思います。
本日まとめて更新しております。
じつは、次に紹介する予定の
『尼首二十万石』もほとんど読み終わりかけです。

隆慶一郎作品の『駆込寺蔭始末』。
江戸時代で、有名な駆込寺である
東慶時を舞台にしています。

元御所忍びの棟梁である麿が
住持で元許嫁の依頼で、
離縁を求めて駆け込む女性たちにまつわる
因縁や悪事などを断ち切る「蔭始末」をしていきます。

麿を助ける煎餅屋を営む八兵衛、おかつ夫婦も
手だれの忍びです。
隆慶一郎作品ならではの忍びですね。

4話の連作で、1話分も短いので
すぐに読み切ってしまいました。
隆慶一郎ワールドが随所にありますので
初めて隆慶一郎作品を読むというなら
他の作品を読んでから、
この作品にとりかかるとスムーズでしょう。
2010.04.02 『蔓の端々』
『蔓の端々』は乙川優三郎作品です。

親友と妻にしたいと思っていた娘に
裏切られてしまう上に
血みどろの藩内抗争に否応なく
巻き込まれていく剣術師範の
瓜生禎蔵が主人公です。

読んでいてやりきれない気持ちに
なっていきますが、
前向きなラストになっていて
どんよりどよどよっていうふうには
終わらせていないのが救いです。

とくに後半は本当に胸苦しい思いで
ページをめくらなければいけない
というカンジでした。

ヘビーなので、心して読みましょう。
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