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2010.03.30 『おさん』
本日2回目の更新です。
山本周五郎作品の短編集『おさん』。

『青竹』
『夕靄の中』
『みずぐるま』
『葦は見ていた』
『夜の辛夷』
『並木河岸』
『その木戸を通って』
『おさん』
『偸盗』
『饒舌り過ぎる』
以上の10編です。
良い作品ばかりです。
4,5回は読み返してます。

すべての作品を紹介したいですが
読んでくださる皆さんが退屈すると思うので
いくつかピックアップします。

『夕靄の中』は、追われる身分の半七が
岡っ引きか下っぴきを捲こうと入った
墓地での偶然から更生するというあらすじです。
うそから出たまことという表現がぴったりです。

『葦は見ていた』は、最近読んだ気がしてならないのです。
でも、読み返すのは3,4年ぶりですし
この作品以外の収録作品はそんな気がしないので
おなじようなモチーフの作品をどこかで読んだのではないかと
思われるのですが、どうしても思い出せません。
それはともかく、
身を捨てて男を立てた女の報われなさと
出世主義に昔のことを忘れてしまった男の対比が
無情というのか、厳しい現実というのか
なんとも言えない作品です。
この作品のよさは年を重ねないとわからないのかも知れませんね。

平安ものの傑作『偸盗』。
こっけいものとも言えます。
誘拐した身分の高い姫君が実は
とんでもない娘だったという設定です。
設定だけではなく、語り口も
山本周五郎作品にはしばしばでてくるような
読者参加型です。

表題作の『おさん』、岡場所もの『夜の辛夷』
記憶喪失がテーマの『その木戸を通って』など
他の作品のどれもが佳品揃いです。

私が持っている新潮文庫のカバー絵は
おさんが好きだった昼顔があしらってあります。
それを見るだけで胸がつまってしまいます。
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2010.03.30 『時雨みち』
藤沢周平作品『時雨みち』。
『帰還せず』
『飛べ、佐五郎』
『山桜』
『盗み喰い』
『滴る汗』
『幼い声』
『夜の道』
『おばさん』
『亭主の仲間』
『おさんが呼ぶ』
『時雨みち』
以上、11の短編が収められています。
公儀隠密の短編もありますが、市井ものが中心です。

藤沢周平の市井ものが読みたくて
チョイスをしたのですが、
よい作品ぞろいでした。

『山桜』『夜の道』『おさんが呼ぶ』の
3作品はハッピーエンドということもあり、
印象に残りましたし、
『幼い声』と表題作の『時雨みち』は
ノスタルジックでほろ苦い興趣があります。

『おさんが呼ぶ』の主人公おさんは
声をだせないという設定になっていて
山本周五郎作品の短編『二十三年』を思いだしました。
内容はまったくことなりますので、
設定つながりです。

「おさん」つながりで、次は
山本周五郎作品の短編集『おさん』を読んでみたいと思います。
2010.03.29 『さぶ』
山本周五郎作品の名作『さぶ』です。

表具職人の栄二とさぶが主人公の
人間の成長の物語。
もう何度も読み返していますが、
涙なしに読めません。

濡れ衣を着せられて罪に落された栄二。
世の中を呪い、激しい復讐心を抱きますが
送られた先である石川島の人足寄場での経験と
さぶをはじめとする周りの思いやりで
人間として成長していきます。

石川島のくだりが非常にいいです。
人との絆に気づいたり、
寄場に来たころの頑なな態度を
新入りの人足を見て恥じるようになったり
栄二の言葉にもあるように
3年の日々が10年の経験に勝るようになります。

そして、タイトルにもなっているさぶ。
さぶの不器用でいて献身的な姿が
栄二を立ち直らせていくのであり、
本当に山本周五郎の描きたかったところなのでしょう。

少年少女にぜひ読ませてあげたいと
思ってしまう私はおせっかいなおじさんですね。
『かまいたち』は4つの短編が収められています。
宮部作品を読むのは2作目です。
ミステリーがベースになった短編集になっています。

表題作『かまいたち』のほか、
『師走の客』
『迷い鳩』
『騒ぐ刀』
どの短編もデビュー前後にものされたということですが
面白く読みました。

『かまいたち』では、
山本周五郎作品の代表作である『樅の木は残った』の
断章のような各章の導入があって
影響を受けたのかな、と感じました。

『迷い鳩』『騒ぐ刀』は予知ができるお初が主人公。
たしか、宮部作品の長編に同じくお初が主人公のものが
あったという記憶があって読んでいくと
あとがきにも触れていました。

なにはともあれ、すっと読めました。
柴田錬三郎作品『岡っ引きどぶ』の続編です。
どぶ親分は続巻では大奥や京都にまで出張してます。

事件の始まりは、
釣りをしているときや花見をしているときなど
いつも些細なことから始まって、
とんでもないことに発展して
ひねってひねって大団円という
ストーリーが巧みです。

ちょっと人が簡単に死にすぎるという難点は
目立ちますが、「事件」ですからね。
あとは、小唄など時代を感じさせる小道具も
非常に面白いです。

正編でもすでに書いてあるとおり
エンターテイメント小説として堪能しました。
ミステリーが好きな人も楽しめると思います。
個人的な理由で、なかなか読書時間が
取れないくせに、新書などにちょっとはまってしまい
更新が遅くなりがちになってしまっています。

人気シリーズ『慶次郎縁側日記』の第5弾です。
北原亞以子作品『蜩』。

後に余韻を残すような終わり方の
短編が多かったように思います。

といっても、前作品を読んでから
1年以上が過ぎているわけなので
記憶違いかも知れません。

今回の作品の中では『意地』と『天知る地知る』が
特に印象に残りました。
悲しい物語とおかしみのある物語ですが
こういう幅を持っているのも
このシリーズの特徴なのかも知れませんね。

わが吉次親分は何のためなのか
短編『蜩』で所帯を持ったようです。
単純に惚れたはれたではないようなのが
親分らしいです。
岳宏一郎作品の『群雲、関ヶ原へ』です。
とにかく、一冊の分量が多い上に上下巻あり、
いろいろな事情がありまして
10日間近くかかってしまいました。

この作品は、新潮文庫に入っていたのですが
新潮版はなかなか増刷されなくて
一時期、入手が非常に困難でした。
このわたしも苦労した一人です。
で、やっと光文社文庫に採録されて読めたのです。

今回は再読。
司馬遼太郎作品『関ヶ原』も面白いのですが
この『群雲、関ヶ原へ』も読み甲斐があります。
解説にも書いてあったのですが、
人物に好悪が感じられないのでフラットに読めます。
また、岳宏一郎作品に共通する心理洞察というのか
批評みたいなものもミョウに納得してしまいます。

たとえば、大谷刑部と言えば友情に殉じた人物として
男前に描かれることが多いのですが
功利的に行動しようとして、
情に負けたという描き方になっていたり、
また、石田三成の武将としての覚醒などの
小説的な部分もあったりして飽きません。

このほかにも、当時の大垣城主の伊藤彦兵衛の
築城に対する情熱などの
点景というのか、そういう主流ではない人物なども
丁寧に描写がしてあって面白いです。

個人的には司馬作品よりこちらのほうが私の好みです。
古本屋でセット価格300円に惹かれて
つい買ってしまいました。
司馬遼太郎作品の『関ヶ原』です。
以前に池宮作品『島津奔る』で紹介したように
盗作疑惑のタネ本でもあります。

全3巻のボリュームなのですけれども、
司馬作品ならではの語り口も
あまり気にならないまま、面白さのあまり
すぐに読み切ってしまいました。

島左近と石田三成の主従、
徳川家康と本多正信の主従が
それぞれ縦の軸となり
向背に迷ったり、初手からどちらかに味方したりと
戦国時代の総決算的な時代の位置づけの中で
諸大名の進退が横軸となって
物語が壮大になっていると思います。

ただ、西軍の3人が処刑されるまでで
ブツリと終わっているのが物足りないです。
宇喜多秀家の島流しとか
伊達政宗の火事場泥棒的働きとか
こんなに長いんだったらいっそのこと
戦後処理のところまで描かれてても
良かったんじゃないでしょうか。
盗作疑惑があっても、
そういう意味では、『島津奔る』は
そこまで書ききっていますからね。

なんだかんだ言いますけれど
面白いのは面白いです。
細川幽斎が主人公の作品です。
『関ヶ原連判状』。
安部龍太郎作品です。
『風の如く水の如く』の構想をさらに
練り上げたように見えます。

信長暗殺に秀吉が一枚噛んでいたという
ところから、細川幽斎が
古今伝授を通した朝廷への工作と
関ヶ原の第三勢力構築をめざす
大胆な解釈で描かれています。

ただ、史実に合わせるために
忠興と幽斎の不和であったり
大団円の仕掛けであったりに
すこし難があるかなと思えるのですが
面白く読めます。

とくに公家のあり方や暗闘などが
よくわかって面白いと感じました。
通説とは違った視点から
関ヶ原を覗くことができますので
どっちかというと玄人向けかもしれません。
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