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2010.02.27 『幽斎玄旨』
佐藤雅美作品で『幽斎玄旨』です。

細川幽斎が主人公で、
将軍義輝の暗殺から物語が始まります。
足利将軍家から織田信長
豊臣秀吉、徳川家康と
主人を次々と変えていきますが
そこには深い洞察力があったということで
情報収集にも力を注いだことがわかります。

また、幽斎のエピソードとして
非常に器用な一面ものぞかせています。
和歌だけではなくて、太鼓や舞
料理に至るまで精通していたみたいですね。

このような人物なのですが
著者の文体にかかると、淡々とした中に
一種のおかしみや哀歓などが感じられて
すっと読むことができました。

続けて関連作品を攻めてみたいと思います。
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曲亭馬琴の大作『南総里見八犬伝』です。
もちろん現代語の白井喬二の抄訳で読みました。
河出文庫です。

とにかく大作すぎて、途中で飽きました。
八犬士がそろうところで止めようと思ったのですが、
電車の中で読んでいて
その箇所を過ぎてしまったのでそのまま続行。
白井喬二の訳も最後のほうはやっつけになっているのか
第100回を超えると2回分ずつの章だてになり
一番最後は巻21~53をひとまとめにしています。

ストーリーは、伏姫の処女受胎から
八つの玉が散っていくところから
仲間がどんどん増えていくところまでが
非常に伝奇小説として面白いです。
最後の犬士である親兵衛の活躍する前まで
七犬士がそろうところまでが面白いです。

江戸時代の書物だけあって漢語の由来などを知っていると
さらに楽しく読めるのではないでしょうか。
久しぶりの北原亞以子作品です。
シリーズの1冊目『深川澪通り木戸番小屋』。
連作短編が8作品です。

『深川澪通り木戸番小屋』
『両国橋から』
『坂道の冬』
『深川しぐれ』
『ともだち』
『名人かたぎ』
『梅雨の晴れ間』
『わすれもの』

第1作目からとても良い話で
シリーズのタイトルにもなっていますし
のっけから
はまるように仕向けられているのかな、
と思ってしまいます。

木戸番小屋の笑兵衛、お捨夫婦の
謎に包まれた来歴が徐々に明かされると同時に
日々の生活のさまざまな困難を
分け合って生きる様子がいいんでしょうね。
木戸番小屋が駆け込み寺のような役割を果たしています。

短編集なのでサクサクと読めるのではないでしょうか。
「時代小説がはじめて」という人に読んでいただきたいですね。
柴田錬三郎作品の『岡っ引きどぶ』です。
中編くらいの分量の3話が収録されています。

伝奇小説を得意とする作者ですから
この『岡っ引きどぶ』も
からくり御殿や地下のユートピアなど
「まさか」と思うような仕掛けが
ほどこされており、娯楽満載です。

主人公どぶの軽妙さが心地いいですし、
鼠小僧の次郎吉がどぶと一緒に
捕り物に参加したり
盲目の与力、町小路左門が
独特の勘で事件を推理したり
人物設定も娯楽万歳という感じです。

単純に楽しんだらよい作品だと思います。
宇江佐真理作品の『斬られ権佐』。
連作短編集です。

女医者のあさみを救うために
八十八もの傷を負った与力の手先、権佐。
事件を追っかけるにしても
ただ下手人を捕まえればいいとは思っておらず
情けのある捕り物をします。

中盤までは町を駆け回る権佐ですが、
終盤になると、後遺症のために
寝床に臥す日が続きます。
そして、最後はネタばれになるので
明かしませんが、
涙なくして語れないラストが待っております。

設定が結構特殊なのですけれど
清々しい話が多くて
短編としても粒ぞろいだと思います。

泣きたい人は読んでください。
2010.02.09 『銀閣建立』
『銀閣建立』は岩井三四二作品です。
この作品、非常に面白くて時間を忘れて
読みふけってしまいました。

主人公は公方御大工の息子、三郎右衛門。
東山に建てるという隠居所のために
今で言う入札の準備のために
設計図や模型づくり
入札してもらった後は
奉行との予算の駆け引きや
木材の督促などに励みます。

つぎつぎに注文をつけられたり
家庭内の問題で悩んだり
騒乱や公方の病気のために作事がストップしたりと
さまざまな困難が襲ってきます。

続く打ちこわし騒ぎや跡取り息子の放蕩など
時代の空気感が感じられて面白いですし
同業の棟梁たちとの袖の下争いなどは
現代にも通じるところがあります。

また、税金をむしり取られる庶民に同情を持ち、
こんな仕事をしていていいのだろうかと
悩みながら、後世に残る仕事をしたいと
作事に打ち込む姿なども共感できます。

ぜひ、おススメしたい一冊です。
佐藤賢一作品の『剣闘士スパルタクス』です。

奴隷の大規模な反乱であるスパルタクスの乱を
題材にしていますので、
ローマへの批判と身分の相克はもちろんですが、
乱の首謀者に祭り上げられたスパルタクスの
混乱や逡巡など心の移り変わりも
なかなか読み応えがあります。

解説を読んでみると、
作者はアクションを書きたかったのだそうで
共和政ローマの時代設定でなくても
よかったみたいなのですが、
『カエサルを撃て』に繋がるような
時代ですしラストなので、
続けて読むとおもしろいのではないかなと思います。

ただ、不必要とはいいませんが
性描写が玉に瑕のように思うのは
わたしだけでしょうか?
『ローマ人の物語』から文庫通巻で6,7巻に相当します、
塩野七生作品の『勝者の混迷』です。
ポエニ戦争の総力戦に勝利したローマが
その後の内政ドロドロ時代を迎えるという時期です。

グラックス兄弟、マリウス、スッラ、ポンペイウスと
ローマの顔も変遷していきますが
グラックス兄弟の、しかも
名前だけを知っているという状態だった私には
新鮮な話ばかりでした。

ローマの政治史をこうやって見ていくと
法律を駆使したやり方がこんなに昔から
行われていたんだなと思います。
陪審員制度など日本史では出てきませんからね。
西洋の奥深さを感じます。

この『勝者の混迷』に簡単に載っていたというわけで
次はスパルタクスの乱を読んでみたいと思います。
2010.02.04 『赤絵の桜』
山本一力作品の『赤絵の桜』は
『損料屋喜八郎始末控え』の第2弾で
連作短編集です。

読んでいるはじめは前作の長編を念頭に置いていたため
「なんでこんなに中途半端?」と
頭の中で整理ができませんでした。
割り切れないまま読み終わり
解説を見ると「連作短編集」だということで、
なんだか訳のわからないまま読み終わったというのが
正直なところです。

これで、いかに先入観に
イカレポンチ頭が毒されているのかということが
身にしみましたね。
個人的には前作の方が
出来がよかったのではないかという印象ですが
割り引いて考えてもらう方が良さそうです。

収録されているのは
『ほぐし窯』
『赤絵の桜』
『枯れ茶のつる』
『逃げ水』
『初雪だるま』

『枯れ茶のつる』の話が短編としては好印象です。
前回更新から1週間空いてしまいました。
山本一力作品でデビュー作『損料屋喜八郎始末控え』です。

主人公喜八郎は損料屋が表の顔。
でもウラの顔は札差米屋の後見人です。
手下を何人も使っていろいろなことを細かく調べ
札差の大店伊勢屋などの仕掛けや
からくりを防いでいきます。

章立てが4つあり、札差同士の争いや
損をかぶった大店の偽金作りの陰謀など
非常にスリリングな展開が主軸となります。
また、伊勢屋の人物設定が非常に面白く
敵役ながら深みのある人物です。

山本一力作品の中でも
このような仕掛けやからくりなどの知恵比べが
競われるような本作のような作品は
非常に面白くてページが進みます。
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