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藤本ひとみ『マリー・アントワネットの生涯』
この作品は評伝のような感じです。
マリー・アントワネットの伝記にしては
点が辛いので、評伝かなぁと。

入門的な内容でマリー・アントワネットがわかりますし、
作者自身が実際にパリに行き、
ヴァレンヌ事件のあとをたどったということで
質感がある評価をしてあります。

この作品で知ったのですが、
マリーというのは、日本でいうところの「○子」のような
それ自体が名前というわけではないみたいですね。
前回更新の遠藤周作作品
『王妃マリー・アントワネット』の感想での
「アンチマリー」という用法は
完全に間違いのようです。
この場を借りて訂正します。
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最近、外国かぶれのがんじがらめマンは
遠藤周作『王妃マリー・アントワネット』を読みました。
いちおう言っておきますが、次も関連作品を読む予定です。

オーストリアからフランス皇太子に嫁いできた
14歳からギロチンの露と消えた37歳までの生涯を
描いていきます。

さて、この作品は裏の主人公として
マルグリットという娼婦がカギになっています。
同じ年代の娘として、富の象徴である
マリー・アントワネットに憎悪を抱き
悪の道に進んでいき、革命で流される血に酔うという
アンチマリーの象徴です。

また、革命のために地位をなげうってしまうけれども
暴力反対の先鋒に立つあまり人殺しをしてしまうアニエス修道女
マルグリットの恩人で売笑宿の女主人、兎のおばさんなど
女性が主人公の非常に読み応えがある小説です。

サド侯爵や詐欺師カリオストロのエピソードも面白いです。
宮本昌孝作品の『夕立太平記』です。
私は結構好きな作品ですが、
一般の書店ではなかなかお目にかかれません。
重版とはなかなかいかないようですね。

立川文庫から題材をとっているみたいですが
歴史時代小説専門を謳っている割には
がんじがらめマンは肝心の
立川文庫を読んだことがありません。
その点、はっきり言ってアウトですね。

ということで、この『夕立太平記』は
何の先入観もなく純粋に楽しんで読んでいました。
読むのは2回目ですが、
話の展開、張り巡らされた伏線など
ストーリーテリングに優れています。

主人公、夕立勘五郎の奔放さ
ライバルの陰翳濃い人物である大河原源三郎をはじめ
出雲藩主松平治郷や南海公をはじめとする出雲藩士たち、
政権の中心である幕閣たちなどのほかに
この時代を彩るチョイ役として
平賀源内や前野良沢も登場します。

あとがきでは「宮本版立川文庫」第二篇が匂わされています。
ひそかに、待ち遠しい思いをしているのでした。
2010.01.18 『惡忍』
海道龍一朗作品『惡忍』です。
「加藤段蔵無頼伝」という副題が付いています。

加藤段蔵は資料に残っている
数少ない忍者「飛び加藤」です。
そこに伊賀、甲賀の忍びたちに加え
越後の軒猿が絡んで策謀と忍術の
エンターテイメント小説になっています。

越前の朝倉家、越後の上杉家で
忍術を披露したという話は
司馬遼太郎の短編集『果心居士の幻術』のなかの
一編である『飛び加藤』にあるエピソードで
知っていましたが、それに
かなり味付けをしてあります。
セットで読むと面白いかもしれません。
また、かなりマンガチックにしてあって

登場人物もデフォルメされているので
何も考えずに読むのに適していると思います。

私の中ではいまのところ作者の作品の中では
『真剣』が利いていて
どうしても比較してしまいますね。
2010.01.16 『髪かざり』
『髪かざり』は山本周五郎作品で
日本婦道記シリーズの17作が
収録された短編集です。

『笄堀』 『忍緒』 『襖』
『春三たび』 『障子』
『阿漕の浦』 『頬』 『横笛』
『郷土』 『雪しまく峠』
『髪かざり』 『菊の系図』
『壱岐ノ島』 『竹槍』
『蜜柑畑』 『二粒の飴』 『萱笠』

17作品のすべてが戦争中に書かれた作品で
物資が不足していたためなのでしょうか
ひとつひとつが短い作品になっていますし、
話の主題も戦中の検閲の厳しさが
うかがえるように感じます。

これらの中で特に印象深い作品を
3つあげるとするならば
『横笛』『髪かざり』『萱笠』かなと思います。

『横笛』はノウテンキと思っていた妻が
実は夫のために細かい気遣いをしていたという話で
メリハリが利いている作品でした。

『髪かざり』はちょっと説教じみていますが
何事も楽な気持ちでやらないと続かないという
メッセージが心に残ります。

一番のお気に入りは『萱笠』で
小さなウソがまだ見ぬ夫への愛情にかわっていく過程が
巧みであり、また、感動させられる作品です。

婦道記シリーズは『日本婦道記』、この短編集『髪かざり』のほかに
単品で3作品が散りばめられているようです。
宮城谷作品の『沙中の回廊』を読みました。
時代としては『重耳』『介子推』に続く長編作品です。
そして、『晏子』の時代につながっていきます。

主人公は晋の国で元帥になった士会です。
士会とともに晋の国の盛衰を描いていきます。
重耳、つまり文公に見いだされて
国のためにはたらく士会ですが、
文公亡き後の国のあり方に疑問を持ち
秦の国に亡命します。
その後、国に戻った士会が
頭角をあらわしていくという話です。

正直言って、
前掲の2作品に比べると見劣りすると思います。
もっとも、2作品のできが
良すぎるというのがあると思いますが。
波瀾万丈の度合がちょっと少ない気がしました。

ファンでなければ、スルーしてよい作品かなと。
上から目線ですみません。
2010.01.09 『蝉しぐれ』
『蝉しぐれ』(本当のタイトルでは「蝉」の字は旧字体です)です。
藤沢周平の代表作の一つですね。
この文庫も古本屋さんで
安かったので買いました。

読後感が非常によかったです。
青年が成長していく話が、がんじがらめマンは
基本的に好きなんでしょうね。
文庫の解説にあるように
透明感、清涼感というのか爽やかさが好きなんだと思います。

牧文四郎が主人公で、
友情、父の切腹、淡い初恋、剣術の修行
お家騒動と面白い要素が満載で
話が進むにつれて、本を手放せなくなっていました。

文句なしにおススメの部類に入ります。
宇江佐真理作品の『深川恋物語』。
6つの短編を集めた作品集です。

『下駄屋おけい』
『がたくり橋は渡らない』
『凧、凧、揚がれ』
『さびしい水音』
『仙台堀』
『狐拳』

どれも佳品揃いで、読み甲斐があります。
『凧、凧、揚がれ』『さびしい水音』『仙台堀』の3作品は
ハッピーエンドでは終わらないのですが、
感興を残して余韻が続く作品ばかりです。
なかでも『凧、凧、揚がれ』は
色恋の話ではないけれど印象深い作品でした。

これまで読んだ作者の作品集のなかでも
感動させられる度合いがかなり強いですし、
阿刀田高解説(文庫で読みました)も
ちょっと変わっていておもしろいです。

ぜひ、ご一読をおすすめしたいと思います。
文庫の通巻で3,4,5巻に相当します。
『ローマ人の物語』のうちの『ハンニバル戦記』です。

フェニキア人の植民都市カルタゴと
ローマはどのように対決したかがテーマになっていて
その名の通り、ハンニバルが縦横無尽の活躍と
そしてライバルであるローマのスキピオの動向も
非常にエキサイティングです。

戦争の詳しい経過が図式付きで語られており、
塩野七生という人の軍事の造詣の深さにびっくりです。
それから、5巻の参考文献の多さにも驚かされました。
論文と思われる外国の書物がわんさか載っていて
意気込みを超えた気魄が感じられました。

ポエニ戦争については、小学校で読んだ
マンガ世界の歴史の範囲でしか知りませんでしたので
とても勉強になりました。

それにしてもカルタゴのあったチュニジアには
カルタゴの遺跡がほとんど残ってないんですね。
それもローマの徹底的な破壊が原因みたいで。
それでも風光明媚なところみたいですし
ローマ時代のモザイク画などは有名なので
一生に一度は行ってみたいもんですね。
『戦国連歌師』は岩井三四二作品です。
短編集『難儀でござる』で連歌師の作品があり
興味を持ったのですが、
この『戦国連歌師』があるのを知ってから
入手に心砕いていたという作品です。
年末にやっと手に入れました。

宗匠の宗牧と息子の無為とともに
東国を旅する連歌師を目指す有軌が主人公です。
戦国時代の物騒な中を旅するので
さまざまな困難に際会します。
また、恋に落ち恋に破れます。

連作短編になっているので、するする読めましたし
おかしみが利いていてさらに、
ページが進みました。

旅をするところの知識がないと
この種の物語は書けないな、と思います。
宗牧自身が著した日記をベースにしているようですが
作者のイマジネーションもすごいのだろうな
と感じました。
塩野七生の大作『ローマ人の物語』から
『ローマは一日にして成らず』です。
文庫で読んでいるため、
分冊になっています。

この作品は、小説形式ではなくて
評伝というほうが近いような感じです。
もっとも塩野七生作品には
このような形式の作品が多いですけれど。

さて、『ローマは一日にして成らず』では
ローマの建国から共和制が軌道に乗って
カルタゴとの対決を迎える前までの
約500年を描きます。
このうちの4分の1くらいはギリシアの歴史です。

下巻の最後には史料のことが書かれてあり
本気度が非常にわかります。
もっとも小説家としてはこれくらいの
資料を読まないといけないのかもしれませんね。
読者としては、おいしいとこどりで
すみませんね、という感じです。
2010.01.02 『正雪記』
山本周五郎作品で
慶安事件をあつかった『正雪記』です。
年末年始でなかなか
読書時間を取ることが出来ず、
大部であることもあり、
更新に時間がかかりました。

作中では、由井正雪で
名字が地名の由比ではありません。
また、三部構成になっていて、
大まかに言えば
少年時代、島原の乱、慶安事件が
柱になっています。
幕府の浪人弾圧への抵抗に奔走する正雪と
正雪に共鳴する浪人たちの姿や
相思相愛の石川はん、
はんを助ける後藤庄三郎など
多彩な人物の姿が描かれます。

作品の年代順はわかりませんが、
火事の場面では『柳橋物語』を彷彿とさせられたり、
治水のところでは『ながい坂』など
随所に「あ。これはこの作品に共通するなぁ」と思いながら
ページをめくるのも面白かったです。

非常に長い作品なので、
ちょっと気合が必要かもしれません。
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