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岩井三四二作品の『悪党の戦旗』です。
サブタイトルが嘉吉の乱始末です。
この作品は新人物文庫ででており、めずらしいので買いました。

嘉吉の乱は赤松満祐が将軍足利義教を殺害した事件ですが
この作品では、その嘉吉の乱でお取り潰しになった
赤松家を再興させるまでの家臣たちを追った作品です。

主人公は二人で、小寺藤兵衛と間島彦太郎。
この二人は赤松の次代当主になる予定だった
赤松彦次郎の近習ですが、
主家再興を目指して奔走します。
次々と訪れる苦難を乗り越えていくようすが描かれます。

旧家臣たちの苦労や人情の動き
負け戦のみじめさなどが臨場感をともなって
描かれているところがよいですが、
作者の短編のほうが良さが
もっと発揮されているのではないかと思います。

次は同じ時代を扱った作品である
『彷徨える帝』を読み返してみたいと思います。
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宮部みゆき作品をはじめて読みました。
なんとなく、ミステリー作家だからという先入観で
敬遠していたというか、手に取る気にならなかったのですが、
古本屋で100円だったので買ってみました。

人気があるのがわかるくらい、おもしろい作品集でした。

本作には、深川の七不思議を題材に
7つの連作短編が収録されています。

『片葉の芦』
『送り提灯』
『置いてけ堀』
『落葉なしの椎』
『馬鹿囃子』
『足洗い屋敷』
『消えずの行灯』

どの作品も秀逸で、やっぱり先入観はあかんな、と思いました。
また、ほとんどの作品がミステリータッチです。
どの作品にも岡っ引きの回向院の茂七が登場し
事件を解決に導いていきます。

解説では『片葉の芦』が高評価ですが
個人的には親子の人情を描く『落葉なしの椎』が非常によかったです。
流行作家なので手に入りやすいと思いますし
おすすめしたい作品集です。
髪結い伊三次捕物余話シリーズの3冊目です。

2冊目で不破の旦那とけんか別れした伊三次は
やっと旦那と仲直りをして、また
お手先として奔走することになります。

2冊目から時間が空いてからの読書となりましたが
すんなりと入っていけました。
お文の女中が交代したり、お文の母親がわかったり
最後の話ではタイトル通りに深川から
お文が離れていくという筋になっていて
けっこうお文が軸になっている『さらば深川』でした。
文庫の解説にあるように、
お文の心の動きが人間的で面白いです。

この3冊目から登場の
お文の女中おこなが作品に変化を与えていて
次々にシリーズ作品を読んでみたくなります。
北方謙三作品の『余燼』です。

すでに紹介した『林蔵の貌』や『杖下に死す』に
つながる時代を描く作品です。
もっとも『余燼』のほうが時代は古いですが。
ストーリーも夢に向かって人が集まり
夢が破れて次々と仲間がいなくなっていくという
線は『林蔵の貌』『杖下に死す』と基本的に同じです。

主人公は影井誠一郎という旗本と常吉という火消です。
そこに白河藩脱藩の沢井小平太や尾張藩の剣客土屋左近、
もと目明しの弥助、研ぎ師の玄竹などが絡んで行きます。

剣戟の場面が多くて剣豪小説と読んでもいいと思いますが、
政治権力の複雑さなども描かれていますので
単純には言えんなぁという感じです。

さまざまな人物の視点で複眼的に話が進んでいく手法や
さっきにも述べたような「夢」とか「思い」などが
形になりやがて挫折するというストーリー展開などが
北方作品らしい硬質感です。

クライマックスの天明の打ちこわしまでが
少し冗長なような気もしますが
下巻は一気に読むことができました。
柴田錬三郎作品『江戸八百八町物語』です。
古本屋さんで100円でした。
14の短編が収められています。

『江戸っ子由来』
『赤穂浪士異聞』
『御落胤』
『ゆすり旗本』
『仇、うたれず記』
『異変護持院原』
『有馬猫騒動』
『女中・妾・女郎』
『大奥女中』
『五代将軍』
『武士というもの』
『賄賂』
『江戸っ子』
『紀伊国屋文左衛門』

それぞれがナイトスクープの小ネタ集みたいに
趣のある話も結構ありました。
おもしろいと感じたのは『仇、うたれず記』と『江戸っ子』。
『仇、うたれず記』は運命の変転の頼りなさが感じられます。
『江戸っ子』は親子2代にわたる気っぷの良さがおもしろかったです。

概して武家の話が多いのですが、
人間関係の基本的なところは今も昔も
そんなにかわらないんだな、と感じます。
2009.11.17 『介子推』
宮城谷昌光作品の『重耳』の姉妹作品『介子推』です。
『重耳』の記憶が冷めやらぬうちにと思って
読み返してみました。

晋の文公が即位するまでの
流浪の期間を支え続けた介子推の
少年期から致仕するまでを追った作品です。
昔の書物には山にこもる場面が中心で
生い立ちや文公に仕えた時期などが書かれていないので
作者のイマジネーションあふれる作品になっています。

この作品では、老荘思想というのか
厭世的な思考を介子推がもっています。
同じ作者の『花の歳月』の解説にも
老子の思想のことが書いてあったように記憶してますが
それが作品を通しての清々しさにつながってるのかな、と思います。
山本一力作品の『はぐれ牡丹』です。
簡単にいえば時代物のミステリー小説ですね。
そこに江戸下町の人情がミックスされます。

主人公は元大店の娘、一乃です。
裏店に住む主人公一家の近所の娘がかどわかしに遭いますが、
一乃が一分金を拾ったことがきっかけに
下町の人々が一致団結して
事件を解決していくというストーリーです。
また、犯人の様子も平行して描かれ
ラストあたりはくるくると場面が変わり
緊迫感が出てくるしかけになっています。

一乃が軸になりますが、最後のほうに出てくる
松太郎がとってもいい役回りで
結局大団円のところは、ほぼ主人公になっています。
だから松太郎のストーリーをもっと前半から絡ませて
一乃一家の話とどこでつながるのか、
みたいな進め方もあるなぁと思いました。
海音寺潮五郎作品の『武将列伝』も大詰めです。
この江戸篇でラストとなってしまいます。

『真田幸村』
『立花一族』
『徳川家光』
『西郷隆盛』
『勝海舟』

江戸篇は5人が取り上げられていますが、
徳川家光の評価が一番興味深かったです。
この三代将軍といえば、有名な男色家ですが
当時は武家の風潮ですからね。
かえって今のほうが肩身が狭いのかもしれません。

「武将」といえば、源平や戦国のイメージですが
西郷隆盛と勝海舟が入っているのがミソなのでしょうか。
西郷隆盛は実際に討幕軍を率いましたし
勝海舟は軍艦を動かしてましたからね。

全5巻33人が録られているわけですが、
作者の構想では100人、200人
書きたかったようにあとがきにありました。
どんなラインナップになったのか想像するのも楽しいですね。
それだけ書ける知識、史料があるというのも
びっくりする話です。
戦国終末篇は、7人の伝記が収められています。

『黒田如水』
『蒲生氏郷』
『真田昌幸』
『長曾我部元親』
『伊達政宗』
『石田三成』
『加藤清正』

この7編のうち印象に残ったのは前半の2人。
黒田如水と蒲生氏郷でした。
黒田如水については評価が非常に高いところが
なんとなく個人的にうれしいのと、
蒲生氏郷についてはあんまり詳しく事績を知らなかったので
率直に「へ~こんな人なんやな」と感じました。

いつものことですが、続けて読むと
少々飽き気味になってきました。
戦争の話ばかりというわけではないのですけれど
でも『武将列伝』なのでエピソードがどうしても
戦場のことが多くて、「わかるでしょ?」と所々にあるのですが、
正直わかりません。戦争を知らない世代なので。

さ、次でいよいよ最後巻です。
新装版の3冊目に突入しました。
海音寺潮五郎作品の『武将列伝』です。

『竹中半兵衛』
『大友宗麟』
『山中鹿之介』
『明智光秀』
『武田勝頼』
『徳川家康』
『前田利家』
の7人についての伝記です。
戦国時代というのは、群雄割拠の時代ということもあり
多士済々といったかんじです。

この爛熟篇の特徴は、武田勝頼でしょうか。
紙幅がかなり割かれており、
武田家滅亡へのことが細かく述べられています。
一種の父親に対するコンプレックスという見方が
共感できました。

この『武将列伝』を読んでから
諸作家の作品を読んでみると面白いでしょうね。
大友宗麟と明智光秀は
遠藤周作作品を読み返してみたくなりました。
海音寺潮五郎作品『武将列伝』の2冊目です。
収められているのは8人。
『足利尊氏』
『楠木正儀』
『北条早雲』
『斎藤道三』
『毛利元就』
『武田信玄』
『織田信長』
『豊臣秀吉』

このうち、楠木正儀までは南北朝時代です。
しかも、楠木正儀が取り上げられているのが出色です。
南朝で活躍し、しかも父が楠木正成でありながら
北朝に降伏するという経歴の持ち主で、
この武将列伝では擁護される視点で評されています。

北条早雲以下については、有名作品も多く
事歴などについてもよく知られていると思います。
それぞれの人物についての短い伝記ですが
凝縮されていますので、
歴史に興味を持ち始めたという人にぴったりだと思います。
山本周五郎作品『小説日本婦道記』です。
新潮文庫です。

『松の花』
『箭竹』
『梅咲きぬ』
『不断草』
『藪の陰』
『糸車』
『風鈴』
『尾花川』
『桃の井戸』
『墨丸』
『二十三年』

以上11編の短編が収められています。
どれも武家にかかわる女性がテーマになっており、
このうち、『箭竹』『墨丸』は
山本周五郎作品ではジャンルのひとつになっている
「岡崎もの」でも通用すると思われます。
おなじみの水野監物忠善が出てきます。

がんじがらめマンが読みながら不覚の涙をしたのは
『箭竹』『糸車』『風鈴』でした。(ほんとに感動した)
佳品がそろっていて、どの話も興が深いです。
ただ、女性の忍耐であったり、陰の働きであったり
そういう主題が多いので、曲解されることが
作品が発表されてからもたくさんあったようですし、
また、今の世の中でも似たような曲解が
あるのではないでしょうか。
ですから、素直に読めばいいと思います。

『墨丸』は乙川優三郎作品『喜知次』の
下敷きになった作品ではないかと推測できます。
これは、今回の読書の発見でした。
今まで気づきませんでしたが、
ストーリー展開、話の道具立てが非常に似ているところがあります。
乙川優三郎の山本周五郎に対するオマージュなんでしょうね。
『墨丸』は40ページ弱の短い作品ですが
『喜知次』は以前に紹介したように
一冊の長編になっています。
海音寺潮五郎『武将列伝』シリーズ
以前から読みたかった小説です。
源平篇から順次紹介したいと思います。

収録されているのは
『悪源太義平』
『平清盛』
『源頼朝』
『木曾義仲』
『源義経』
『楠木正成』
以上、6人です。
楠木正成だけすこし時代がずれていますが
次の戦国揺籃篇で足利尊氏などが出てきます。
南北朝時代がうまくはまらなかったのでしょう。

それぞれの人物について、たとえば『愚管抄』とか
『玉葉』『吾妻鏡』などの史料に基づいて
論じていますので、物語性はあんまりありません。
でも、こんなふうに小説にしたいということが書かれてありまして
裏話を聞いているようでおもしろい面もあります。

考証がしっかりしているので、ためになります。
宮城谷作品の長編『重耳』です。
高校の時に読んだ作品ですけれど
今読んでみると、こんなに
難しい本を読んだんやな、と思ってしまいます。

さて、この作品はタイトルこそ『重耳』ですが
晋という中国にあった国の興亡を描いた作品です。
上巻は重耳から見ると祖父に当たる称が主人公
中巻は重耳の父が国を滅ぼす寸前までにしてしまう話
下巻でやっとタイトル通り重耳の諸国遍歴が中心になります。

正直に言って、作者の表現がところどころ
感覚的にわからない場合が多くて
「えいや」で読んでしまうことが多い
頭の働きが鈍いわたくしなのですが
ストーリー展開の巧みさは
折り紙つきだと思います。

また、主人公を描くまでを丹念に描いてあるので
背景がすっと入ってくるのも
なじみが薄い古代中国を描くのに
よい手法なんだろうなと感じます。
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