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辻原登作品の『翔べ麒麟』、再読です。

『天平の甍』と同時代を扱った作品で
楽しくポップに読めるものと思い、
この『翔べ麒麟』を選びました。

唐の安史の乱の時代、日本人の阿倍仲麻呂(朝衡)と
主人公の藤原真幸が活躍するストーリーです。
恋と戦乱、友情と権謀術数というのは
どれもが筋立てに欠かせないという
黄金パターンですからね。

話の前半は、新羅と日本の勢力拮抗の構図が
朝衡と楊国忠の権力争いになり、
後半は、安禄山の乱がおこり
首都長安をめぐる攻防という展開です。
もちろん、鑑真の渡日も少しだけ出てきます。

当時の東アジア世界の情勢や
遣唐使についての知識、唐の風俗もわかり
解説でも述べられているのですが、
史料に基づいた考証もきちんとされているようですので
ただ面白いだけの作品ではないようです。

全編を通じてさわやかな雰囲気があり
読みやすい物語だと思います。
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2009.04.22 『天平の甍』
井上靖の『天平の甍』です。

鑑真が渡日する企てをめぐって
日本人僧侶たちがどのような運命をたどったのかを描く
著者の代表的な作品です。

主人公としては、普照という僧の眼を
通して物語は進んでいきます。
遣唐使の留学僧である栄叡、玄朗、戒融といった同僚や
先輩僧の業行が異国の地でどう生きていくのか
5人がそれぞれ違った道をたどっていきます。

普照が鑑真とともに
渡日の失敗を繰り返す中で
大切な友を失い、鑑真も失明し、
周りからは冷たい目で見られと
状況がどんどん悪くなっていくという
ストーリー展開は緊張感があります。

でも、勉強にはなりましたけれど
正直言ってあんまりだったかなと思います。
著者の代表的作品ということで、
イメージが先行しすぎたのかもしれません。
時代のせいなのでしょうか。
黒岩重吾の古代から題材を採っている
『北風に起つ』を読みました。

この本は継体天皇、作中ではおほどのきみ
漢字は「男」「大」「どはしんにょうに亦」「王」と
蘇我稲目が主人公です。
この2人の主人公の視点が交互に描かれながら
継体天皇が大和に迎えられるまでを追っていきます。
ちなみに蘇我稲目と継体天皇は敵同士です。

継体天皇については
八木荘司の『古代からの伝言』シリーズや
新書の水谷千秋著『謎の大王 継体天皇』を読んだことがありますが、
すっかり内容を忘れてしまっていました。
我ながら、情けないほどポンコツです。

蘇我稲目が成長していく姿や
自分の妻を物部氏に差し出さなければいけなかった
苦悩なども描かれていますし、
継体天皇が大伴金村からの蔑視を感じる所など
心理描写もなかなか面白かったです。

古代の作品は朝鮮半島の地理と
三国の関係が頭に入っていないと
すこし読みにくいかも知れません。
古代に関心がある人は読んでみてください。
小説といえるのかどうかわかりませんが、
司馬遼太郎の『空海の風景』です。
空海に関する、長大なレポートというかんじの
作品ではないかな、と思えたので、
ここに挙げるのもすこしためらいました。

空海をとりまく当時の仏教界の様子や
入唐当時のさまざまな宗教のことや
当時の舟の構造や航海術、
最澄と空海の交友から断交に至るまで
そのほか、空海の書などについて
空海の年表に沿って書かれています。
とくに、密教の教義やそのほかの
日本仏教にかかわることは、詳しく書かれています。

ですから、たのしく小説読もうと思って
この作品を選択するのは、ベターではないと思います。
講談社の学術文庫を読むくらいの
すこし詳しく勉強しようかな、という覚悟は必要ですね。
あとは、哲学に興味がある高校生とか
仏教史を勉強している学生などが、
その入り口として、読むには適していると思います。
何といっても、読みやすいです。
2009.04.14 『間宮林蔵』
吉村昭作品の『間宮林蔵』を読みました。
”記録文学”をベースに創作した作品だけに
どこからどこまでが史実なのか、
どこからどこまでが想像や推測なのかがわからなくて
さすが、吉村昭作品やな、と感じさせます。
なんというのでしょうか、
重みがあるんですよね。

そして、さりげなく感想が入っていたり、
意外なたとえの言葉があったりして
ユーモアが感じられることもあります。

さて、この『間宮林蔵』では
測量に関する具体的な知識が詳細に描かれていて
とっても興味深かったです。
また、林蔵が幕府の隠密だったというのは、
事実だったんですね。
浜田藩の密貿易を見つけたり、有名ですけれど
薩摩藩の密貿易を幕府に報告したりと
かなり、活躍していたようです。

それから、「鎖国」についての考え方もだいぶ改められました。
日本自体が島国で海岸線が長いわけですし、
北に関して言えば、国後、択捉などはもちろん
樺太に江戸時代から会所があったりしたわけですから
ロシアや清などとの接触があって当然だし
琉球や壱岐、対馬などでは朝鮮や清との接触があるはずで
とくに幕末は、太平洋には外国の捕鯨船が
蒸気の力で航海できたのですしね。
本当に勉強になりました。

教養を深めるという目的ならマル。
ガチンコの読書を求めるのもマル。
娯楽を求めるなら、他の作者の作品を読みましょう。
佐藤雅美作品のシリーズ2冊目です。

夜、なんだか寝苦しくて目がさえてしまい
気がついたら読み終わっていました。
そのくらい、熱中して読むほど面白かったです。

この『隼小僧異聞』では、はじめのエピソードから
暗い話で始まるのですが、
それからのエピソードは紋蔵の一家に春が訪れます。

ところで、この作品では
紋蔵は直接の上役から「居眠り」とよばれています。
よく考えたら、非常に肩身の狭い思いをして
役所勤めをしているのです。
そんな境遇に居ながら
「誰もが損をしない結着をつけよう」と
いろんな事件に首をつっこみます。
首をつっこまされることもままあります。

法律をあつかう紋蔵が、
だれもが損をしないように奔走することで
法律の非情な面に血を通わせている
というところが
この作品の魅力なのかな、と感じています。
居眠り紋蔵シリーズ第1冊目です。

基本的に居眠り紋蔵のエピソードは
すっと話しが終わらなくて、ひねりが利いたオチになります。
しかも、これでよかったんだか
よくなかったんだか分からないオチもあったり、
八方丸く収まるみたいなオチもあったりで
読んでいて飽きが来ないです。

だいたいが、ちょっと気が抜けると眠ってしまう
一見すると、怠け者にしか見えない変な病気のせいで
ぜんぜん出世しないという設定や
外回りの仕事にはなかなか出られなくて
役得にあずかれず、お金に詰まっているという設定など
紋蔵のキャラクターが面白いです。

おじさんに人気がありそうなイメージがあるのですが、
先入観にとらわれず、読んでみてください。
陳舜臣の大作、『阿片戦争』は歯ごたえあります。
文庫で3冊、1冊がかなり分厚くて、
読み終わるまで、結構時間がかかりました。

大河という言葉がぴったりなスケールの大きさ、
登場人物の多さや主人公を特定できない描かれ方、
長年読み継がれているだけあるな、と思います。

アヘン戦争は中国、当時の清がイギリスに負けてしまう
という歴史的な事実です。
植民地化がすすめられていく、中国にとっては
非常な(非情な)インパクトがあると思うのです。
その中で、人々がどう関わったか、が描かれています。
登場人物もそれぞれに魅力的ですし。

また、文化や習慣のちがいが誤解を生んでしまうというのは、
普遍的なことだな、と月並みなことをおもいました。
月並みだけれど、ときに深刻な事態を招きますよね。
この植民地拡大路線当時のヨーロッパ諸国が
やっていることは、どこかの国みたいで
そういう意味でも、普遍的やなぁとおもった次第です。

冒頭で紹介したようにこの作品、
歯ごたえありすぎるかもしれませんので
初心者というのか、活字に慣れていないとちょっとしんどいかも。
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