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この作品は、遠藤周作作品です。
人が持つ、おそれや苦悩などをテーマにした
作品が多いのが遠藤周作の歴史作品の特徴だと思います。
ま、そういう作品しかわたしが読んでいないと言うことでも
ありますが。

この『王国への道』では、山田長政を主人公に
タイで繰り広げられる権力闘争と
そこでのし上がっていく様子が描かれます。
そして、副主題としてペドロ岐部がヨーロッパに渡り
キリストの教えを身につけ日本に帰って、殉教する姿も描かれます。

主題と副主題がみごとにマッチしながら
話が進んでいくあたりは、読み応えがあります。
そして、なんと言ってもタイトルがいいです。
地上での王国をめざす山田長政と
信仰の王国建設を目指すペドロ岐部。

わたしには、あまり知識のない作品世界でしたが
それでもばっちり読めました。
これ、おすすめです。
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北方作品です。
藤原純友の乱をあつかった、
海をテーマにした物語です。

作者の手による『林蔵の貌』や『武王の門』など
海や商いなどを描いた作品は多いので
なんとなく、フラッシュバックすることも多かったです。

『絶海にあらず』では、藤原純友がスーパーマンすぎるように
思いました。作中では酒や女を慰めとするみたいなことも
ありますが、基本的に失敗をしません。
そして、思いが通るという点では、
私が読んだ、ほかの作品群の結末とは一線を画します。

中公文庫で読みましたが、解説がすばらしい。
解説を褒めるのも変ですが、
普通の解説といえば、作品と作者をべた褒めしたものが多いですよね。
それはそれでいいのですけれども。
解説は、愛媛大学の松原弘宣という人で
学術的な解説がしてあり、とっても興味がわきます。

この作品は、解説から読みましょう。
吉川英治作品を読みました。
これは、永井路子『北条政子』を読んで
関連作品を読んでみようということから
選んだものです。
そしたら、講談社の吉川英治歴史時代文庫には
解説に永井路子が登場しているではありませんか。
ちょっと運命感じました。

作品の感想としては
やっぱり、といえばいいのでしょうか。
『新平家物語』という同時代を扱った吉川作品の金字塔が
あるせいか、どことなく見劣りがする感じがしました。
伝奇小説なら講談調の語り口もすっと入ってくる感じなのに
すこしハナについてしまいます。
また、義経の話が半分を占めるのも、ちょっと気に入らないんです。

時間があって、全16巻の大作でも大丈夫という方は
ぜひ『新平家』のほうをお勧めします。
2009.03.15 『北条政子』
永井路子の『北条政子』は、初読です。
出先で本を急きょ買いました。
前々から気になっていたのですが
読んでみて、これまでのイメージが覆されました。

物語は、頼朝と結ばれる直前から実朝暗殺までが
主人公である政子視点で描かれます。
鎌倉幕府草創期の混乱の様子は、
粛清の嵐というイメージがあり、その台風の目は
北条一族であるというふうに思っていました。

実際は、北条一族だけではなくいろいろな思惑で
さまざまな人々がかかわっているという、
今考えれば何でもないことなのですが、
このように小説にして提示した作者の感覚は
さすがだな、と思いました。
ちなみに、作者は
90歳間近の今(2009年3月)でも現役だそうです。

政治権力と個人のはざまで葛藤する、
という設定も一読の価値はあると思います。
火坂雅志作品の『骨董屋征次郎』シリーズ第1弾です。
『京暦』のあとにこの感想を載せることに
なってしまいました。

まず、講談社文庫の表紙カバーデザインに
山本一力『欅しぐれ』(朝日文庫)と同じ絵が
使われていることに驚きました。
こんなことってあるんですね。
この2冊を続けて読んだのでびっくりしました。
『骨董屋征次郎手控』は結構前に買って、
読んでいるので全く気付かなかったことに
自分自身であきれる思いでいます。

さて、感想です。
短編集ですが、後半は連作になっていて
ミステリ仕立てになっており、続きが気になります。
ストーリー展開が面白くてすぐに読み終えてしまいました。

この作品のあとがきには、
作者が「骨董は魔道」というようなことを書いています。
そういうエピソードもしっかり入っていて
読み応えがあると思います。
2009.03.10 『欅しぐれ』
山本一力作品です。
この本は、何ヶ月か前に買ってあったけれど
なんだか手が出ないままでした。
が、非常に面白くて
寝る間を惜しんで読んでしまいました。

桔梗屋の主人太兵衛と渡世人猪之吉との友情の物語で、
桔梗屋の乗っ取りをたくらむ治作と猪之吉の知恵合戦というのが
あらましなのですが、これが非常に面白い
エンターテインメントに仕上がっております。
題名からして人情ものかな、とおもっていましたけれど
見事に裏切られましたね。
この作者の作品では、『深川黄表紙掛取り帖』に近い興奮を感じました。
宮城谷作品の『天空の舟』です。
これは、だいたい3500年前の中国、
夏から商(殷)の時代を題材にした作品です。

当時の資料といえば、金文や甲骨文字ですから
作品として完成させるまで非常に苦労を
したのではないかと、容易に想像できます。
第一、夏が本当にあったのかどうかさえ
疑われていた時代もあったわけですから。

そして、この小説はかなり面白く、
多少なりとも中国の歴史に関心が持てます。

夏の桀王と商の湯王は少しは予備知識がありましたが、
昆吾伯となると、この小説を読むまでは
人名とばかり思っていましたので、
非常に驚いたことを鮮明に覚えています。
ちなみに今回は再読です。

さて、主人公の伊尹は小説中では、
摯という名前で話が進みます。
主人公が時の権力者に時に翻弄され
時に対峙し、時に同情されながら
商の湯王を成功に導いていきます。
摯が成長していく、桀王が王としての自覚を取り戻していく
ビルドゥングスロマンであり
古代中国の様子がわかる教養小説であり
宮城谷作品に共通の、魅力ある物語で、
ほかの作品とともに一読をお勧めしたいと思います。
2009.03.05 『侠骨記』
宮城谷昌光作品の『侠骨記』です。
4つの短編(中編?)からなっています。
表題作『侠骨記』『布衣の人』『甘棠の人』『買われた宰相』です。

『侠骨記』は曹かい(←漢字が出ません歳みたいな偏とりっとう)が主人公です。
曹かいは『史記』の刺客列伝では曹沫と書かれています。
『布衣の人』は俊が主人公です。五帝の一人、帝舜です。
『甘棠の人』は召公せき(←大という字の人の左右に百)の話。
最後の『買われた宰相』は百里けい(←爪の下に糸 糸の小の部分が大)が
描かれます。

中でも『買われた宰相』の話しが一番印象に残りました。
友情の話しであり、ロードストーリーであり非常に
起伏に富んだ人生が描かれます。
百歳くらいまで現役で頑張っていたということで
超・大器晩成です。

また、『甘棠の人』は宮城谷作品のうち
『王家の風日』や『太公望』の姉妹作品としても楽しめます。

『史記』というのは、非常に文章が短くて
私も少しだけ見たことはあるのですが、
かなり行間を読みとる必要があります。
『史記』だけではなく、『国語』『春秋』などさまざま書物を読んでも
2500年とか3000年とか気の遠くなるような
古さのことを取り扱うわけですから
これほど豊かな人物像を作れるのが
この作者のすごいところだと思います。
紫式部の『源氏物語』を
円地文子という人が訳した現代語訳版で読みました。
すんごく読むのに時間がかかり、
気がつけば読破まで1か月もたっていました。
こんなに読みづらい思いをしたのは
学生のころ読んだ
ヒトラーの『わが闘争』以来です。

というのも、
一文の中で主語が変わっていたり、
今では廃れてしまった敬語がふんだんに
使われていたりして読みづらかったというのが
主な理由です。
正直、途中で投げ出してしまおうかと
何度も思いました。
そういうところを訳してわかりやすくしてしまうのか、
原文の雰囲気だけでも味わえるようにあえて
忠実に訳すのか、微妙な問題ですが、
ま、今となってはどうでもいいです。
原文では力不足で読めないだろうと思うので
そのあたりは、しかたありません。

で、感想ですが、
当時のよすがを思い浮かべるには
かなり、興味深く読めますが、
光源氏の物語としては、前半は
あんまりおもしろくは読めませんでした。
とにかく、スーパーマンすぎて面白くない。
しかし、『若菜』あたりから様子が変って
読むスピードに弾みがついてきまして
宇治十帖になると
なかなか人間関係がややこしくなってきて
興が乗ってきました。

未読なので何とも言えませんが
たぶん、違う人の訳 たとえば
瀬戸内寂聴や田辺聖子などの訳なら
もっと違った感想だったかもしれません。
千年読み継がれてきているのですから
面白い作品なのでしょうが、
わたくしがんじがらめマン的には
ちょっと肌合いが合わなかったのでしょうね。
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