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日露戦争関連の作品群も最後です。
(管理人の手元にある書物という意味です)
吉村昭作品の『ポーツマスの旗』。
司馬遼太郎作品と吉村昭作品しか
手持ちにないというのも、ヒジョーに偏っていますが。

講和条約の締結に尽力した、
全権大使の小村寿太郎が作品の主人公です。
大きな期待を背負って旅立つものの、
条約の内容が、大国の国威に屈したものであったため
帰国に際しては大非難にさらされます。

家庭的にめぐまれない全権大使ですが、
条約の締結に当たっては、
かなり冷静に対処していき、
本当は計画通りの内容で条約を結びました。
日本の実情が国民に知らされていなかったため
悪名を一心に背負ってしまうという、
ちょっとかわいそうな役回りだったようです。

そして、作品中にちりばめられているのが
タイトルにもある「旗」です。
船出のときの「旗」は、帰国の際には
しおたれた「旗」として描かれているのも
とても象徴的でした。
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2012.05.23 『海の史劇』
吉村昭作品の『海の史劇』です。

日露戦争の終盤戦、日本海海戦と
バルチック艦隊の大航海そして
日露講和条約を描いた作品です。

ロシア側の視点が多いのは、
バルチック艦隊の航海が大プロジェクトだったことと
無縁ではないと思います。

そして、両国の捕虜の待遇とか
両国の戦後の社会情勢などもよくわかり、
戦争の悲惨さも十分に感じられます。

この時代の作品を読んでいるみなさんには
繰り返しの比較でございまして、
二番煎じどころか、何番煎じやねんという
ツッコミが来そうですね。

わざわざ司馬遼太郎作品『坂の上の雲』を
中断して、この『海の史劇』を挟んでみました。
両者の違いは、おそらく他のみなさんが
詳しいでしょうし、管理人としても
比較できるような賢いアタマは持ち合わせていません。

読むスピードや面白さを求めるなら『坂の上の雲』で
読みがいのある重厚さとか、人物をこき下ろさない
立場を求めると『海の史劇』と、
好みが変わってくるんでしょうかね。
どちらも素晴らしい作品であることは間違いないです。
明治時代をとりあげた作品を
読み継いでみようと思い立ちまして
最初に手に取ったのは
吉村昭作品の『ニコライ遭難』です。

ロマノフ朝最後の皇帝、ニコライ2世が
皇太子時代に日本にやってきて
「大津事件」に巻き込まれますが、
その様子を克明にたどった作品です。

当時はロシアが仮想敵国とされていましたが
国力が桁違いだったため、
感情を逆なでしないように皇太子を大歓迎します。
そして、「大津事件」。
この国難に対処する明治天皇と側近たち、
また、裁判に関しては
司法と政治のぶつかり合いが演じられます。
その後の凶行をした巡査の津田三蔵の死まで
一連の流れがとてもよくわかります。

とんでもない事件が起きたあとの
収拾に向けた動きをみると、
新国家成立20年という
新しい国の力というのが
非常に感じられます。
外交的な努力や司法権の独立をまもるなど
明治人の気概がまぶしい気持ちになります。
吉村昭作品の『長英逃亡』です。
タイトルの通り、幕末の医師で蘭学者の
高野長英が脱獄して幕府の眼を掻い潜りながら
諸国をめぐる6年余の足跡をたどります。

逃亡生活での人情の機微、猜疑のこころ
母、家族との再会などが
きめ細かく活写されており、
緊張感あふれる作品に仕上がっています。

語学の天才として名を馳せ、
その才能から居傲な人物だったのが
義侠心のある人々に支えられて
逃亡を続けるうちに、自分の非違に気づき
反省するようになるなど、
中年になってからですが、
人間的な成長を遂げていくのも読みどころです。

いくつになっても人間は進歩できるんだなと
かなり含蓄のある読書で
再読ですけれど、感動しました。
個人的には吉村昭作品で1位だと思っていますが
いかがでしょうか?
2010.10.27 『彰義隊』
吉村昭作品の『彰義隊』です。
この作品は以前から読みたかった作品で、初読です。
これを読むために『勝海舟』読んだと言っていいです。

タイトルは『彰義隊』ですけれども、実際には
上野にあった徳川家菩提寺である寛永寺の主だった
輪王寺宮が主人公に据えられています。

で、実際の彰義隊が朝廷軍と戦った部分は前半で終了。
あとは輪王寺宮が長い逃避行の末に
奥羽越列藩同盟の盟主になり、
破れて幽閉され、還俗して軍人生活を営むというストーリーになってます。

皇族として生まれながら、朝廷に反する行動を取り
それを心に屈託として抱えながら生涯を過ごした輪王子宮。
新政府のためを願って従軍した台湾戦役で疫病にかかり、
異国の地で生涯を閉じるという波瀾万丈の人生です。

この作品も、かなりハマりました。
そのせいか、かなりのスピードで読み終わってしまいました。
冷静な文体なのですが、入れ込ませるところが
さすが吉村昭調の筆力です。

戦争が人心を荒廃させるということが感じられる場面を
さりげなく忍ばせてあったり、
有栖川宮との確執から人が人を恨むということについて
考えさせられたりと、
なかなか感じるところが多かった印象です。
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