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岳宏一郎作品です。
この小説は、『乱世が好き』、『軍師官兵衛』ときて
2011年現在では『群雲、賤ヶ岳へ』と
出版社がかわるたびにタイトルもかわっているという作品です。
私が持っているのは、講談社文庫の『軍師官兵衛』。

荒木村重とその妻たしとの友情と愛憎が
非常にリアルに描かれていたり、
主君である小寺政職や秀吉との関係も
かなり穿った語りで表現されていたりと
かなり面白い作品となっています。

賤ヶ岳の戦いまでが非常に細かく描写される反面、
そのあとの全国平定、朝鮮戦役、関ヶ原については
章立てで言うと最後の2章で完結してしまい、
駆け足な感が否めません。
それは、『軍師官兵衛』や『群雲、賤ヶ岳へ』のタイトルに
如実に表れていると思います。

それにしても、荒木村重が
人間的に深みある人物として造形されています。
遠藤周作作品の『反逆』と
セットで読むことを勧めたいです。

また、この岳宏一郎作品と双璧をなすのが
司馬遼太郎作品『播磨灘物語』だと思います。
つぎは、この作品にチャレンジです。
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2010.05.06 『花鳥の乱』
『花鳥の乱』には「利休の七哲」副題がついています。
わたくし、がんじがらめマンが好きな作家、岳宏一郎作品です。

千利休の弟子たちを題材にした
連作短編集のような感じに仕上がっています。
しかしながら、利休が登場人物として
出てくるのはほんの少しだけです。

『風の武士 荒木村重』
『天上の城 高山右近』
『花の下 織田有楽斎』
『早舟の客 蒲生氏郷』
『雨の中の犬 細川忠興』
『加賀の狐 前田利長』
『美の巡礼 古田織部』

利休が権力者秀吉に反抗したように
ここに挙げられた七哲のそれぞれも
反骨精神を持って
戦国の世の中をくぐってきたという意味でも
「利休の弟子」と言え、
短編集のタイトルにも通じるという
なかなか心憎い演出になっています。

講談社文庫の解説では、
『雨の中の犬』をべた褒めですが
『群雲、関ヶ原へ』と非常に重なるところも多いので
どちらかというと、私としては
『花の下』『加賀の狐』を推したいと思います。

権力に屈しない精神は伝えられるものなのか
「類は友を呼ぶ」なのか
非常に興味深い作品集だと思います。
岳宏一郎作品の『群雲、関ヶ原へ』です。
とにかく、一冊の分量が多い上に上下巻あり、
いろいろな事情がありまして
10日間近くかかってしまいました。

この作品は、新潮文庫に入っていたのですが
新潮版はなかなか増刷されなくて
一時期、入手が非常に困難でした。
このわたしも苦労した一人です。
で、やっと光文社文庫に採録されて読めたのです。

今回は再読。
司馬遼太郎作品『関ヶ原』も面白いのですが
この『群雲、関ヶ原へ』も読み甲斐があります。
解説にも書いてあったのですが、
人物に好悪が感じられないのでフラットに読めます。
また、岳宏一郎作品に共通する心理洞察というのか
批評みたいなものもミョウに納得してしまいます。

たとえば、大谷刑部と言えば友情に殉じた人物として
男前に描かれることが多いのですが
功利的に行動しようとして、
情に負けたという描き方になっていたり、
また、石田三成の武将としての覚醒などの
小説的な部分もあったりして飽きません。

このほかにも、当時の大垣城主の伊藤彦兵衛の
築城に対する情熱などの
点景というのか、そういう主流ではない人物なども
丁寧に描写がしてあって面白いです。

個人的には司馬作品よりこちらのほうが私の好みです。
岳宏一郎作品の『蓮如夏の嵐』です。

唐突ですが、がんじがらめマンはこの作者の
比喩力がとっても好きです。

で、この作品は再読なのですが、
初めて読んだときは、正直に言って
よくわからないままでした。
人間・蓮如を描きつつ、浄土真宗中興の祖としても描き出す
少し難しい作品であることが理由だと思います。

今回は、『親鸞』に続けて読んだせいか
真宗の教義などが囓った程度にせよ、知識として
頭に残っていて割とすんなり読めました。

蓮如の40代から物語が始まりますが
作者の鋭い人間洞察や真宗への知識などに
感心させられます。
また、蓮如自体も80歳過ぎても子作りに励むという
ある意味バケモノみたいな存在であり
人間的には矛盾に満ちた、
非常に魅力に富んだ人物ということも感心しました。

戦国時代、下克上の先駆けの一つの例としても
興の深い作品じゃないかな、と思います。
2009.09.16 『御家の狗』
岳宏一郎の『御家の狗』です。
短編(中編?)が3つ収録された作品集です。

大久保長安を中心にした『胡と(けものへんに賓)』読み方は「とど」
本多正信を中心にした『鷹狩り』
本多正純を中心にした『花ざかりの杏の木』
いずれも徳川幕府草創期を題材にしています。

『とど』(←勝手にひらがなにしています)は
家康と長安との主従関係が
双方ともが持つねじれた感情とともに描かれています。
金、銀をどんどん産出してしまう長安は
吏僚として有能でありながら
指を指せばそこから金銀がわき出てきてしまう
いわばラッキーボーイとして人物造形されてます。
そしてその長安をいいようのない感情で猜疑する家康。
短い作品ですが、権力を握った男の感情が非常に巧みです。

『鷹狩り』は本多正信と大久保忠隣との権力争いが軸です。
この権力争いに家康の秀吉に対する無力感が加わります。

正信の臆病というレッテルに対する屈折した感情、
主に背いた経歴とその間家族を支えてくれた
忠隣の父、忠世の死の間際に感じた劣等感が
秀吉に愛され、部下からも慕われる見事な男、
忠隣の失脚につながっていきます。
この作品も対比が効いていて読み応えがある作品だと感じます。

最後、『花ざかりの杏の木』は
武闘派の福島正則と吏僚派の本多正純との
ほのかに結ばれた友情が秀忠によって壊されていく軌跡を
本多正純の視線からたどった物語です。
定説とは違う視点で描かれているようですね。

3つの作品の中で『花ざかりの杏の木』が若干見劣りするように
わたくしがんじがらめマンは感じましたが
心の動きや言葉にしにくいような屈折した心理描写や
ねたみ、疑い、意地などにもとづく人間の行動など
非常に興味深く読みました。

権力を手にした人物が晩節を汚すということは
よくあることですけれども、ね。
この作品集のタイトルもよく考えられてるなぁと思います。
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