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永井路子作品の『美貌の女帝』です。
この前に読んだ藤原不比等と同時代の作品です。

主人公は女帝、元正天皇です。
未婚の女帝であり、皇后の経験もなかった
元正天皇がどうして登極できたのか
作者は面白い視点で小説化しています。

持統天皇、元明天皇、元正天皇と
女帝が続いた時代。
政敵の藤原不比等と暗闘を繰り返しながら
蘇我氏の血を受けた王族を守ります。

また、不比等死後の藤原兄弟とも
長屋王の変、聖武天皇への譲位など
奈良時代の全盛期を迎えていく中で
敗北してしまうという、ストーリーです。

同時代作品を続けていくと
全然違う視点が面白いですね。
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2012.04.25 『一豊の妻』
永井路子短編集『一豊の妻』です。
6つの短編が収録されています。

『お秘蔵さま物語』
『お江さま屏風』
『お菊さま』
『あたしとむじなたち』
『熊御前さまの嫁』
『一豊の妻』

すべての作品が女性を主人公にしています。
お秘蔵さまは家康の側室、お梶の方。
お江さまは、大河にもなったお江の方。
お菊さまは九州の大名の娘のようですね。
あたしはお百姓さんですが、題材は宇都宮釣り天井事件。
熊御前は家康の孫のお熊で、嫁は千姫。
さいごは山内一豊の妻、お千代です。

戦国時代から徳川幕府草創期にかけての
女性たちの生きざまを描いており、
作者のあとがきによれば、すべての話が
関連付けられているとのこと。
さすがの一言です。

おもしろかったのは『あたしとむじなたち』でした。
放埓な娘のもとに忍び込んできた
百姓姿の浪人2人と「あたし」の関係を
「あたし」の独白で描いていきます。
なかなかシュールな感じに仕上がっています。
2012.02.27 『岩倉具視』
歴史・時代小説界の長老、
(と、解説に書いてありました)
永井路子作品の評伝『岩倉具視』です。

このブログでも紹介したことのある『炎環』で
直木賞をとったころから、構想を温めていたそうです。

さて、本題ですが
幕末の激動期を失脚で京都の
岩倉村に追いやられながら、
倒幕直前に大活躍して明治の元勲になった
いきさつが語られます。

作者お得意の権力争いの解明や
人間洞察の視点などが面白いです。

また、文庫の背表紙や帯などにもありますが、
「尊王攘夷」「王政復古」などの言葉を
もう一度解体して、本当の意味がなんなのか
という作業から、幕末の実態を
明らかにしていくので、非常に説得力のある
作品に仕上がっています。

幕末維新を公卿の側から描いた作品なので
これまた、通り一辺倒の作品群とは
かなり違ったイメージで
読み直すことができると思いますし、
案外、読みやすい作品です。
2011.02.21 『雲と風と』
伝教大師最澄が主人公の永井路子作品『雲と風と』です。
この作品は、物語というより評伝というほうがピッタリです。

作者は「史料を這う」と表現していますが
論文などを読みこなして作品化しているという点
頭が下がるおもいであると同時に
その果実を文庫代だけで読めるということに感謝です。

そのようにしてできあがったのは
伝説臭を取り除いて作者が再現した生身の最澄。
そしてウラ主人公と呼べる桓武天皇です。
話はこの2人を行ったり来たりしながら進んでいきます。

愚直というくらい生真面目な最澄には
正直言って人間的な魅力に乏しいような気がしますが
懸命に奈良時代末期の仏教退廃から抜け出し
天台法華の再発見と日本での構築を目指しながら
志半ばで死んでしまう、そして
天台宗は志とは違い、退廃へのみちを歩き始めるという
ちょっと報われない、悲劇性のある人物像です。

司馬遼太郎作品『空海の風景』と併せて読むと
より深く読み込むことができるのではないかと思います。
が、非常に内容が高尚になので
軽い試験勉強なみの心構えは必要かも知れません。
永井路子短編集の『裸足の皇女』です。
皇女はひめみこと読みます。

だいたい天智天皇の治世から
藤原仲麻呂の乱の前あたりまでの時代がテーマの短編集です。
この時代は、政策論争ではなくまさに権力争いが
生々しい時代ですけれども、
生臭くなく物語化されています。

『冬の夜、じいの物語』
『裸足の皇女』
『もがり(列へんに賓)の庭』
『恋の奴』
『黒馬の来る夜』
『水城相聞』
『古りにしを』
『火の恋』
『妖壺招福』

真ん中あたりの『恋の奴』から『古りにしを』は連作短編となっていて
そのほかの5編は純粋な短編です。

蘇我氏から一旦天皇家へと遷った権力が
藤原氏へとまた遷っていくという過程において
女性が翻弄されたり、一定の役割を果たすということで
全編を通して興味深い作品集だと思います。

奈良時代に興味のある方は、読んでみてはいかがでしょうか?
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