上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
乙川優三郎作品の短編集『武家用心集』です。
火の「用心」の意味ではなく、
それぞれの主人公の決心というか、
心の在り方や意志を描いた作品です。

『田蔵田半右衛門』
『しずれの音』
『九月の瓜』
『邯鄲』
『うつしみ』
『向椿山』
『磯波』
『梅雨のなごり』

刺客となる男性目線の『田蔵田半右衛門』『邯鄲』。
女性目線の『しずれの音』『磯波』。
どれも佳品ばかりですが、
個人的には女性の自立がテーマの『うつしみ』や
将来の約束を取り戻そうとするまでの
恋人たちを描いた『向椿山』が心にのこりました。

いずれの作品も、ほの明るい未来が暗示されているようで
読後感が爽やかでした。
先にも書いたように、実際には
思いまどい、悩んで苦しんだ果てに
自らの心を決めるということで、
けっしてハッピーエンドというわけではないんですが。

この作品集で、中山義秀文学賞をとったんですね。
それだけ出来のいい作品集だと思います。
スポンサーサイト
2012.10.10 『冬の標』
乙川優三郎作品の長編『冬の標』。
絵が好きな女子が、絵で独立するまでの
経過を描いた作品です。

裕福な家庭で育ったため、
画塾に通うことができ、好きな絵のために
生きてみたいと思っていた主人公の明世。
しかし、江戸時代という時代の中で
結婚、出産、育児、介護と
夫が早世したために訪れる貧窮で
絵を描くことを抑えなければならなくなります。

しかし、画塾の同窓だった蒔絵職人平吉や
養子に行って立派になった、陽二郎とであうことで
もう一度、絵を描くことへの情熱を取り戻します。

文庫の表紙が、作品にとても関係していて
なかなか凝った形になっています。

途中、これでもかと主人公を襲う不運ですが、
最後にはすがすがしい読後感が
得られるのではないかと思います。
乙川優三郎短編集の『闇の華たち』です。
6つの短編が収録されています。

『花映る』
『男の縁』
『悪名』
『笹の雪』
『面影』
『冬の華』

どれもしっとりとしたという表現がぴったりで
堪能できる作品ばかりでした。

とくに好きだったのは『悪名』でしょうか。
幼馴染の茶屋の女中で、元武家の娘だった多野と
汚職が原因でおちぶれている重四郎。
苦労の多い暮らしの中で、多野にとっては
悪名を得ている重四郎が気にかかる存在です。
実は、重四郎は藩主の名を受けていて…というストーリー。
抑制された感情が見事に描かれています。

また、この話はハッピーエンドなのですが
わかりやすいハッピーエンドは、
乙川優三郎作品では珍しいもんですから
余計印象に残りました。

あとは、桜田門外の変にかかわる話の『面影』。
水戸藩の隣藩だった佐倉藩士のストーリーテラーで、
幕末の動乱を、また違った側面から読めます。

ほんとうに、管理人が注目している
作家のひとりですが、
作品数が限られています。
たくさん読みたいんですけどね。
乙川優三郎短編集の『逍遥の季節』です。
芸道にかかわる女性たちを描いた
7つの短編から成り立っています。

『竹夫人』 音楽
『秋野』 茶道
『三冬三春』 絵画
『夏草雨』 根付
『秋草風』 糸染
『細小群竹』 髪結
『逍遥の季節』 活花

タイトルの横に記したとおり、
色々な分野の芸術が描かれており、
その描写もさることながら
男に翻弄されたり、生活に苦しんだり、と
さまざまな困難を乗り越えようとする
姿が感銘を与えてくれます。

この作者はだいたいそうなんですが、
基本的には、暗い感じの作品が多いので
読みでがあると思います。

あとは読んでいて、美しいな、と感じる日本語のチョイスに
非常にセンスを感じますね。
こう書いてしまうと、非常に上から目線になってしまうのですが。
新潮文庫解説にもありますが、
書く短編のタイトルはすべて季節に関わります。
このように、きれいな日本語が
さりげなく出てくるところがすごいですね。
2011.10.31 『生きる』
乙川優三郎作品で直木賞受賞作の
短編?中編?集の『生きる』です。
3つの作品が収められていまして、
管理人、がんじがらめマンからすると
短編なのかなと思っていますが、
文春解説では中編となっております。

『生きる』
『安穏河原』
『早梅記』

『生きる』は殉死を禁止された武士が
葛藤する様を家族の離散とあわせて描きます。
殉死できない葛藤が生む悲劇の連続と
それを乗り越えて感情が図太くなるという
せつない話です。

『安穏河原』は岡場所の女の芯の強さが
幼いころに体験した河原での一日だったという
原風景が人の生きがいになるという話。
個人的には、一番好きな作品ですね。

『早梅記』は余生を送る執政だった武士が
若いころを支え続けてくれた下女に出会うという話。
こう書くとわけがわかりませんが、
回想をたどっていくと、その下女が
どれだけ大切なひとだったのかに気づき、
また、変わらない心映えの下女に励まされるというストーリーです。

どの作品も一貫して暗いトーンです。
味わって読む作品と言えるでしょうか。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。